名称:アクリル酸ノルマル-ブチル
CAS番号:141-32-2
物質ID: | 21B3014 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 | 警告 | H226: 引火性液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点が41℃(closed cup)(Ullmanns(E)(2003))で≧23℃および≦60℃であることから区分3とした。なお、UNRTDG(UN2348)クラス3 PGIIIである。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG | - | - | - | - | 分子内に自己反応性に関連する原子団を含むが、市販製品には安定剤(MEHQ)が添加さ れて安定化されており、この安定化された製品はUNRTDGでクラス3であることからタ イプGと判断できる。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が267℃(ホンメル(1996))で70℃を越えている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有しない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値、3143、3730、4920、6170、6220、8125、9050 mg/kg(以上、SIDS(2009))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値、2000、3100、5700 mg/kg(以上、ECETOC JACC 27(1994))、2000、3024 mg/kg(以上、SIDS(2009))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | 危険 | H331: 吸入すると有毒 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P311: 医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLC50値 8.08 mg/L(1543 ppmV)、10.3 mg/L(1967 ppmV)、11.9 mg/L(2273 ppmV)、13.3 mg/L(2541 ppmV)(以上、SIDS(2009))、14.3 mg/L(2732 ppmV)(ECETOC JACC 27(1994))の5件中3件が該当する区分3とした。 なお、飽和蒸気圧(5.45 mmHg = 0.727 kPa)より飽和蒸気圧濃度は7193 ppmVとなり、試験濃度は飽和蒸気圧濃度の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気と判断した。したがって、分類にはガスの基準値(ppmV)を用いた。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギに試験物質原液を最長20時間まで閉塞適用した試験で、24時間後に中等度(moderate)から重度(strong)の紅斑と浮腫が観察され、20時間適用では弱い壊死も認められた(SIDS(2009))。しかし、その影響は可逆的で8日後にはかなり軽減し、「刺激性あり(irritating)」との評価結果(SIDS(2009))に基づき区分2とした。なお、ウサギを用いた別の試験では、軽度の刺激性(slightly irritating)または刺激性なし(not irritating)の結果(SIDS(2009))も得られている。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギ5匹に試験物質原液の点眼により、1匹で傷害が見られず、他の4匹が中等度(moderate)から重度(severe)の傷害を示し、うち2匹が虹彩炎を伴った(SIDS(2009))。ウサギを用いた別の試験では軽度の角膜混濁が見られ、さらに別の試験では中等度〜重度の傷害を示した(SIDS(2009))ことが報告されている。これらの試験結果において、「刺激性(irritating)」あるいは「重度の刺激性(highly irritating)」との評価に基づき区分2Aとした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットを用いた2種の皮膚感作性試験(maximization testおよびFreund's complete adjuvant test)において陽性率はそれぞれ7/10(70%)および8/8(100%)といずれも感作性あり(sensitizing)の結果(SIDS(2009))であり、マウス局所リンパ節増殖試験でも陽性結果が得られている(SIDS(2009))。一方、ヒトでは感作性を確認するため行われたパッチテストで本物質に陽性反応を示した症例が多数報告されている(SIDS(2002)、DFGOT 5(1993))。以上より、複数の試験法による動物試験の結果が全て陽性であることおよびヒトで本物質の皮膚感作性を示す報告が多数あることに基づき区分1とした。なお、EU分類ではR43に分類されている。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験として、ハムスターとラットに吸入暴露による骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性(ECETOC JACC 27(1994))の報告に基づき区分外とした。なお、in vitro変異原性試験として、Ames試験で陰性(SIDS(2009)、ACGIH(7th, 2003)、DFGOT vol.16(2001))、小核試験で陰性(ECETOC JACC 27(1994)、SIDS(2009)、ACGIH(7th, 2003))、染色体異常試験で陰性(SIDS(2009))などの報告がある。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | IARCにおいてグループ3(IARC 71(1999))に分類されていることから区分外とした。なお、ACGIHでもA4に分類されている。なお、ラットにに24ヵ月間吸入ばく露した試験では、どの器官にも試験物質に関連する腫瘍発生頻度の増加は報告されていない(IARC vol 71(1999))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの器官形成期に吸入ばく露により母動物が体重増加抑制を起こす用量で、着床後胚損失率の用量依存的な増加があり、その結果として胎児死亡率の増加が見られている(SIDS(2009))。また、マウスの器官形成期に経口投与では、母動物の死亡や体重増加抑制が認められた用量で胚吸収率の有意な増加があり、さらに口蓋裂、脳脱出、開眼症、椎弓癒合などの外表および骨格の奇形や変異を有する胎児数が有意に増加した(SIDS(2009))と報告されている。以上のラットおよびマウスの試験結果から区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに4時間吸入ばく露による急性毒性試験において、3.6 mg/Lで痙性呼吸、横臥位、4.96〜8.1 mg/Lで鼻からの分泌液、喘鳴、立毛、さらに12.1〜16.0 mg/Lで呼吸困難、振せん、閉眼が観察され、6.8 mg/L以上では死亡例が発生している(SIDS(2009))。別の試験(LC50 = 8.08 mg/L)の死亡例で肺のうっ血と肺炎(SIDS(2009))、さらに別の試験(LC50 = 13.3 mg/L)では、興奮、呼吸困難、鼻粘膜の充血、肺出血、肺浮腫、肺気腫(ECETOC JACC 27(1994))がそれぞれ所見として記載されている。経口投与の場合も高用量で努力呼吸と横臥位が見られ、死亡例の剖検で肺の出血が報告されている(SIDS(2009))。以上のように主に肺と気道への有害影響がガイダンス値区分1と区分2に該当する用量で認められていることから、区分1(呼吸器)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(鼻腔) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(鼻腔) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに13週間(1日6時間)吸入ばく露(蒸気)では、ガイダンス値範囲に相当する用量では有害影響を示す所見はなかった(SIDS(2009))。一方、ラットの24ヶ月(1日6時間)吸入ばく露試験(蒸気:0.086〜0.773 mg/L)において嗅上皮の萎縮と過形成が見られ、組織学的には軽度の神経性萎縮、円柱細胞層の部分的喪失、予備細胞の過形成が用量依存的に認められた(SIDS(2009)、DFGOT vol.12(1999))が、気道や肺などの変化は見出されなかったことから区分1(鼻腔)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ヒメダカ)での96時間LC50 = 2420μg/L(環境省リスク評価第7巻, 2009)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:61.3%(既存点検, 1975))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.36(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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