名称:トリクロロ酢酸
CAS番号:76-03-9
物質ID: | 21B3011 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である。(ICSC(J)(1998)、ホンメル(1996)) |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が >110℃(Gangolli vol.7(2nd, 1999))と70℃を超えている。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である。(ICSC(J)(1998)、ホンメル(1996)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、塩素を含んでいるが、これらの元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、鉄、亜鉛、アルミなどを腐食するとの情報がある。(HSDB(2007)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値3320 mg/kg(ACGIH(2001)に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値>2000 mg/kg(SIDS(Access on April. 2009)に基づき、JIS分類基準区分外(国連分類基準区分5または区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | ラット、ウサギ、モルモット、ネコでLC50値>4800 ppm(換算値:32.2 mg/L)との記載(SIDS(Access on April. 2009))があるが、詳細が不明で元文献の記載もないことから、データ不足で「分類できない」とした。(この結果は飽和蒸気圧以上で実施されたと推察され、区分外に該当する。) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギ皮膚に対し腐食性との記載(SIDS(access on April 2009))があり、別のウサギを用いた試験では0.21 mg適用で軽度刺激性(slight irritation)であったが、3.5 mg適用で重度刺激性(severe irritation)の結果(BUA 167(1995))が得られているように、ばく露の濃度と時間次第で熱傷を起こす(ACGIH(2001))とも記述されている。加えてpH < 1((900 g/L, 20℃))である(IUCLID(2000))ことも考慮して区分1とした。なお、EUによりC、R35に分類されている。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギの試験で重度かつ広範な上皮と下皮の喪失、血管辺縁の浸潤と出血が認められた(ACGIH(2001))との記述、およびウサギ眼に30%溶液を適用後重篤な眼損傷性を示し、24、48、72時間後の刺激性の最大平均スコア(MMAS)がいずれも106であり、21日後も完全に回復していない(ECETOC TR 48(1998))こと、さらにpH < 1((900 g/L, 20℃))であることから区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いたMaximization test で皮膚感作性が認められなかったとの記述(IUCLID(2000)、BUA 167(1995))があるが、List2のデータでありそれ以上の具体的データがないことから分類できないとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスに腹腔内による骨髄細胞を用いた小核試験と染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性結果(IARC vol.63(1995)、IRIS(2003))があり、かつマウスあるいはラットに経口投与後の肝細胞におけるDNA損傷試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陽性結果(IARC vol.63(1995)、IRIS(2003))がある。これら体細胞での試験結果に基づき区分2とした。なお、in vitro のデータとして、Ames試験で陰性(ACGIH(2001)、IARC vol.63(1995)、IRIS(2003)、NTP DB(Access on 2009))の結果が得られている。 | |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | IARCでグループ3(IARC vol.84,(2004))に分類されていることから、区分外とした。なお、EPA(1986)でC(IRIS, 2003)、ACGIH(7th, 2001)でA3に分類されている。なお、長期の経口ばく露により、マウスでは肝臓の腺腫および癌腫の発生頻度の増加が報告されているが、ラットでは認められていない(IARC vol. 84(2004))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの器官形成期に経口投与した試験において、親動物の体重増加抑制などの一般毒性の発現と合わせ、用量依存的な胚吸収率の増加と生存胎児の体重及び身長の減少、および高用量で心血管系と骨格の奇形が見出されたとの記述(ACGIH (2001))から区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用) | 警告 | H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
経口ばく露により動物は急速に麻酔あるいは半麻酔の状態になり、36時間以内に完全に回復するか死亡するかのいずれかであったとの記述(ACGIH (2001))に基づき区分3(麻酔作用)とした。また、ヒトが本物質を吸入することにより、肺を刺激し咳、息切れを起こし、大量にばく露されると肺水腫を起こし得るとの記述(HSFS (2004)、SITTIG (5th, 2008) 、ICSC (J) (1998))があるが、この所見に関してはList 3の情報であり、具体的なデータが示されていないので分類できない。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットに350〜785 mg/kg/dayの用量まで90日間飲水投与(ACGIH(2001)、IARC vol.63(1995))により、またマウスに500 mg/kg/dayの用量まで10週間飲水投与(環境省リスク評価 第5巻(H.18))により重大な毒性所見は記述されていないが、いずれも雄のみの試験であり反復ばく露の試験として検査項目等も十分かどうか疑義があるため「分類できない」とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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