名称:水酸化ナトリウム
CAS番号:1310-73-2
物質ID: | 21B3010 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1996))である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1996))である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ホンメル(1996))である。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度は109 g/100mL(20℃)(ICSC(2000))で水に対して安定である。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 酸素を含む無機物質であるが、データがなく分類できない。なお、ナトリウムの電荷が最も安定な1価なので、酸化性はないと考えられる。(事業者向けガイダンス参照) |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギのLD50値325 mg/kg(SIDS, 2002)のデータのみで、げっ歯類のデータがないため、分類できないとした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ブタの腹部に2N(8%)、4N(16%)、6N(24%)溶液を適用した試験で、大きな水疱が15分以内に現れ、8%および16%溶液は全表皮層に重度の壊死を生じ、24%溶液においては皮下組織の深部に至る壊死を伴う無数かつ重度の水疱が生じたとの報告(SIDS(2009))、およびウサギ皮膚に5%水溶液を4時間適用した場合に重度の壊死を起こしたとの報告(ACGIH(7th, 2001))に基づき区分1とした。なお、pH は12(0.05% w/w)(Merck(14th, 2006))である。また、ヒトへの影響では、皮膚に対して0.5%-4%溶液で皮膚刺激があり、0.5%溶液を用いた試験でボランティアの55および61%に皮膚刺激あったとの報告(SIDS(2009))がある。EU分類ではC、R35に分類されている。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギ眼に対し1.2%溶液ないし2%以上の濃度が腐食性濃度との記述(SIDS(2009))、pH は12(0.05% w/w)(Merck(14th, 2006))であることから区分1とした。ヒトの事故例で高濃度の粉塵または溶液により重度の眼の障害の報告(ACGIH(7th, 2001))や誤って眼に入り失明に至るような報告(DFGOT vol.12(1999))が多数ある。なお、皮膚に対しても腐食性を示し、EU分類ではC、R35に分類されている。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | 男性ボランティアによる皮膚感作性試験で、背中に0.063% - 1.0%溶液を塗布して誘導をかけ、7日後に0.125%溶液を再塗布したが、用量依存性の刺激増強はあったが、再塗布したパッチ面の反応の増強は認められなかった。したがって、水酸化ナトリウムには皮膚感作性がなかった。さらに、水酸化ナトリウムは長年広く使用され来ており、ヒトの皮膚感作症例の報告も無いことから水酸化ナトリウムは皮膚感作性物質とは考えられないという結論(SIDS(2009))に基づき、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | n vivo試験のデータとして、マウスに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で小核の有意な増加は観察されず(SIDS(2009))、またマウスに腹腔内投与による卵母細胞を用いた染色体異数性誘発試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)では染色体不分離の証拠は見出されていない(SIDS(2009))。これらの結果は体細胞及び生殖細胞を用いたin vivo変異原性試験の結果が陰性であることを示しているので区分外とした。なお、in vitro変異原性試験として、Ames試験で陰性(SIDS(2009))、CHO K1細胞を用いた染色体異常試験で偽陽性(SIDS(2009))の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットの経口投与12週間の発がん性試験で陰性(DFGOT vol.12(1999))などの報告があるがデータ不足で分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
粉塵やミストの急性吸入暴露により粘膜刺激に続き、咳・呼吸困難などが引き起こされ、さらにばく露が強いと肺水腫やショックに陥る可能性がある(PATTY(5th, 2001))という記述により区分1(呼吸器)とした。なお、潮解性や極小の蒸気圧などの物理化学的特性から粉塵形成はあり得ない(SIDS(2009))との記述もある。そのほか、誤飲28症例で、推定25-37 %溶液50〜200 mLにより上部消化管と食道の傷害が認められたとの報告(SIDS(2009))や、深刻な(誤飲)事故や自殺症例報告は多数あり口腔から食道までの重度の腐食を引き起こしたする記述(DFGOT vol.12(1999))もある。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | 経口、経皮、吸入またはその他の経路による反復ばく露の動物試験データはない(SIDS(2009))と記述され、また、ヒトに対する影響のデータもほとんどないので、データ不足で分類できない。また、ラットでのエアゾル吸入反復ばく露で肺に障害を与えたとの記述(ACGIH(7th, 2001))があるが、ばく露濃度が不明のため分類できない。なお、潮解性や極小の蒸気圧などの物理化学的特性から粉塵形成はあり得ない(SIDS(2009))との記述がある。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ネコゼミジンコ)での48時間LC50 = 40 mg/L(SIDS, 2004, 他)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 水溶液が強塩基となることが毒性の要因と考えられるが、環境水中では緩衝作用により毒性影響が緩和されるため、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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