名称:1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 8‐オクタクロロ‐2, 3, 3a, 4, 7, 7a‐ヘキサヒドロ‐4, 7‐メタノ‐1H‐インデン (別名クロルデン)
CAS番号:57-74-9
物質ID: | 21B3005 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(NAERG(J)(2001))である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 「不燃性」(NAERG(J)(2001))より区分外である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 「不燃性」(NAERG(J)(2001))より区分外である。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に酸素およびフッ素を含まず、分子内の塩素はすべて炭素と結合している。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値83 mg/kg(ATSDR(1994))、283 mg/kg(EHC 34(1984))、327 mg/kg(IARC vol.79(2001))、335 mg/kg(IARC vol.79(2001))、350 mg/kg(EHC 34(1984))、371 mg/kg(JMPR 180(1970))、392 mg/kg(IARC vol.79(2001)), 430 mg/kg(IARC vol.79(2001))、500 mg/kg(IARC vol.79(2001))、570 mg/kg(IARC vol.79(2001))、590 mg/kg(ACGIH(2001))、以上のうち該当数(9件)の多い区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値205 mg/kg(EHC 34(1984))、530 mg/kg(EHC 34(1984))、590-840 mg/kg(ACGIH(2001))、ウサギのLD50値1100-1200 mg/kg(EHC 34(1984))より、該当数の多い区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足で分類できない。なお、ネコのLC50 = 100mg/m3のデータがある(RTECS(2005))。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギの経皮急性毒性試験(通常24時間の閉塞適用)の結果として重度(severe)の刺激性(EHC 34(1984))との報告や、ヒトの皮膚接触事故の症例報告に灼熱感、発疹、掻痒などの皮膚刺激性の症状がしばしば報告された(ATSDR(1994))との記述から区分2と判断した。なお、EU分類ではXn; R21(Harmful in contact with skin)/R22に分類されている。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
本物質を含む混合物の噴霧が常に結膜炎を起こすとの記述(ATSDR(1994))や産業または農業従事者においてクロルデンの使用が、眼、粘膜、および/または、皮膚の刺激をしばしば引き起こした(HSDB(2005))との記述に基づき、区分2と判断した。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた皮膚感作性の試験が行われている(ATSDR(1994))。またHSDB(2005)でも感作性試験が行われているが、試験法と動物種が不明であることから、データ不足のため、分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスを用いた経口投与による複数の優性致死試験(in vivo経世代変異原性試験)で陰性(EHC 34(1984)、IARC 79(2001))であったが、体細胞in vivo変異原性試験としてマウスの骨髄細胞を用いた小核試験(ATSDR(1994))および染色体異常試験(IARC 79(2001))の2試験で陽性結果が得られているので区分2とした。なお、in vitro変異原性試験においては、Ames試験(IARC 79(2001),(ATSDR(1994))・CHO細胞(ATSDR(1994))やヒト線維芽細胞(IARC 79(2001))を用いた変異原性試験では陰性結果が複数報告され、ヒトリンパ球を用いたSCE試験(IARC 79(2001))などでは陽性結果が報告されている。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARC(2001年)により2B、日本産業衛生学会(2002年)により2B、ACGIH(1996年)によりA3にそれぞれ分類されていることに基づき区分2とした。なお、ラットおよびマウスに80週〜2年間の経口曝露投与により、ラットでは甲状腺濾胞細胞、悪性線維性組織球腫、肝細胞腺腫の発生増加。マウスの場合は肝細胞癌、肝細胞腺腫の発生増加が報告されている(IARC79(2001))が、ヒトでの多くの疫学報告(IARC79(2001))の中で、肺がんなど癌の発生と曝露との間の有意な関連性を示す結果は示されていない。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2、 追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響 | 警告 |
H362: 授乳中の子に害を及ぼすおそれ H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P263: 妊娠中/授乳期中は接触を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの経口暴露による世代試験において、一般毒性が示された用量で、仔の生存率低下、分娩まで至った交配雌数の減少、高用量では離乳までに生存仔なしとの結果が得られている(EHC 34(1984)、ATSDR (1994))。また、妊娠期間中、特に出生前まで経口ばく露した試験では同腹仔損失率の増加が認められており(IRIS (2002)、ATSDR (1994)))、その理由として、母乳を介し仔に対した試験物質の直接的ばく露、あるいは母動物の授乳または哺育不能が挙げられている。さらに高用量群で授乳期間中に仔の55%が死亡したことについては、その原因として母乳中に高濃度含まれる試験物質または代謝物が想定され(ATSDR (1994))、また、マウスに2.5 mg/kg経口投与で児に神経行動学的影響(回避反応取得の低下、探索行動亢進など)を与えたことについては、胎児脳に影響し、哺育期間中も暴露されていたと結論されている(ATSDR (1994))。しかしながら、仔の生存率の低下、分娩成立した雌動物数の減少については出産前の暴露の影響も否定できないので「区分2」及び「授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに曝露後、痙攣、嘔吐、運動失調、錯乱など神経症状の報告が数多くあり(IARC 79(2001)、EHC 34(1984)、PIMs (2000))。以上のヒトでの知見に基づき区分1(神経系)とした。なお、一過性の肝酵素上昇も報告されている(IARC 79(2001))。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、肝臓、血液) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、肝臓、血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた15日間反復経口投与試験において、50 mg/kg(90日補正;8.3 mg/kg)で痙攣と死亡が報告され(IARC 79(2001))、ヒトの疫学調査では、米国テネシー州の市営水道のクロルデン汚染事故で、影響を受けた住人105人中71人に汚染水と接触した報告があり、うち13人(18%)が軽度の胃腸症状とともに神経症状を訴えた記述(IARC 79(2001))があり、また別に7年前に建物外面のクロルデン噴霧を受けたマンション居住者216人に実施された神経生理学的、神経心理学的検査で見られた最も著しい変化が反応遅延、平衡障害、認知機能の低下、記憶障害などであった(IRIS(1997))ことから区分1(神経系)とした。マウスを用いた2年間の経口投与試験において、用量5 mg/kg又は12.5 mg/kgで肝臓の変性及び壊死が認められた(IARC 79(2001)との報告やラットを用いた同様の試験において、肝臓で10 mg/kgから300 mg/kgの範囲で用量依存的に細胞質の好酸化、ガラス質化、核崩壊から壊死を伴う変性が認められた(EHC 34(1984))との報告に基づき、区分1(肝臓)とした。疫学調査でクロルデンのばく露に関連する血液疾患として、再生不良性貧血、白血病、低形成貧血、巨赤血球性貧血、血小板減少、悪性貧血などの症例がこれまで多数報告されている(IARC 79(2001))ことから区分1(血液)とした。以上をまとめると、反復ばく露の分類は区分1(神経系、肝臓、血液)となる。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ピンクシュリンプ)での96時間LC50 = 0.4μg/L(EHC 34, 1984, 他)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1986))、生物蓄積性が高い(BCF=13900-27900(3μg/L)、13000-26100(0.3μg/L)(既存点検, 1986))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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