GHS分類結果

名称:エトポシド
CAS番号:33419-42-0

結果:
物質ID: 21A3735
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素を含んでいるが、酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値=(雄)1949、(雌)1784 mg/kg bw(RTECS(2009); KSRNAM Kiso to Rinsho. Clinical Report. Vol 19, 3473, 1985)は区分4に該当する。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、マウス精子細胞を用いる小核試験、マウス分裂中期卵母細胞を用いる染色体異常試験・異数性試験(いずれも腹腔内投与)で陽性(IARC Vol.76(2000))との結果より、区分1Bとした。 なお、in vitro 試験では、Ames試験ではほとんど陰性、培養細胞を用いた染色体異常試験・小核試験では陽性(IARC Vol.76(2000))である。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCの発がん性グループ分類でGroup 1(IARC Vol.100A(2008))に分類されていることより、区分1Aとした。 なお、抗がん剤としてヒトの治療での症例で、骨髄性白血病の発生が多数報告されている。動物実験ではノックアウトマウスでの試験で、白血病の増加は認められなかったとしている(IARC vol.76(2000))。
7 生殖毒性 区分1A、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
H362: 授乳中の子に害を及ぼすおそれ
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P263: 妊娠中/授乳期中は接触を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は抗がん剤として使用されており、ヒトの経口投与において、「妊娠性絨毛性疾患のエトポシド経口投与治療をうけた、20人の若い女性および2人の中年女性(50歳以下)の研究において、2〜4ヵ月にわたる一時的卵巣不全が若い女性のうちの5人で観察され、2人の中年女性には永久的な卵巣不全があった(IARC Vol.76(2000))」と報告されている。また、「子宮外妊娠の2ケースで流産を誘発するのに用いられた(IARC Vol.76(2000))」との報告もあり、投与量は記されていないものの、明確な生殖毒性・発生毒性が認められるので、区分1Aとした。また、エトポシドの医薬品添付文書に、授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されているの記述に基づき、授乳に対するまたは授乳を介した影響とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
エトポシドの医薬品添付文書における副作用情報として、骨髄抑制(汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、出血、貧血等)、アナフィラキシー様症状(チアノーゼ、呼吸困難、胸内苦悶、血圧低下)、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、腎機能、肝機能障害、悪心・嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢、腹痛、便秘、発疹、脱毛、紅斑、?痒、色素沈着、頭痛、しびれ、一過性皮質盲、頻脈、心電図異常、不整脈、血圧低下、電解質の変化、倦怠感、発熱、顔面潮紅、浮腫、血清総蛋白減少、味覚異常が記載されているが、急性影響かどうか不明なため区分2(全身毒性)とした。なお、類縁物質のエトポシド-リン酸塩をイヌに単回で静脈内投与した試験において、白血球減少および血小板減少(IARC Vol.76(2000))が報告されている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(骨髄、肺、全身毒性) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(骨髄、肺、全身毒性) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
エトポシドの医薬品添付文書における副作用情報として、重要な副作用として骨髄抑制(汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、出血、貧血等)、アナフィラキシー様症状(チアノーゼ、呼吸困難、胸内苦悶、血圧低下)、間質性肺炎(発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎)が述べられていることから区分1(骨髄、肺、全身毒性)とした。その他の副作用として腎機能、肝機能障害、悪心・嘔吐、食欲不振、口内炎、下痢、腹痛、便秘、発疹、脱毛、紅斑、?痒、色素沈着、頭痛、しびれ、一過性皮質盲、頻脈、心電図異常、不整脈、血圧低下、電解質の変化、倦怠感、発熱、顔面潮紅、浮腫、血清総蛋白減少、味覚異常が記載されている。なお、ヒトの経口投与および静脈内投与において、骨髄抑制・白血球減少・好中球減少(IARC Vol.76(2000))が報告されている。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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