GHS分類結果

名称:ブチルリチウム
CAS番号:109-72-8

結果:
物質ID: 21A3725
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 爆発性に関する原子団(C-金属)を含むが、データがないので分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-21℃ [密閉式](NITE総合検索(access on Sep. 2009))は<23℃であり、かつ、初留点80-90℃(0.0001mmHg)(Sax(11th, 2004))というデータから、常圧での初溜点が35℃以下とは考えられないので、区分2に該当すると判断した。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 爆発性に関する原子団(C-金属)を含むが、データがないので分類できない。
9 自然発火性液体 区分1 危険 H250: 空気に触れると自然発火 P302+P334: 皮膚に付着した場合:冷たい水に浸すこと/湿った包帯で覆うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P222: 空気に接触させないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P422: 内容物を...中で保管すること。
ブチルリチウムは空気と共存するときに自然発火性がある(ホンメル(1996))という情報により区分1とした。なお、以下の情報がホンメルにある。「濃縮ブチルリチウムは自然発火性があり、水と接触する場合爆発する。ブチルリチウム溶液が乾燥し切ると自然発火性の空状のものが残存する。」また、「国際輸送では、専ら炭化水素溶液の形で輸送される。その際に使用されているのは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンである。これら溶液中のブチルリチウム溶液は発火しやすいが、もはや自然発火はしない。」(ホンメル(1996))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - 国連危険物輸送勧告においてクラス4.2、PG Iであり、自然発火性の液体である。
12 水反応可燃性化学品 区分1 危険 H260: 水に触れると自然発火するおそれのある可燃性又は引火性ガスを発生 P231+P232: 湿気を遮断し、不活性ガス下で取り扱うこと。
P335+P334: 固着していない粒子を皮膚から払いのけ、冷たい水に浸すこと/湿った包帯で覆うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P402+P404: 乾燥した場所又は密閉容器に保管すること。
P223: 激しい反応と火災の発生の危険があるため、水と接触させないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
金属(Li)を含み、かつ、「濃縮ブチルリチウムは自然発火性が水と接触する場合爆発する。」(ホンメル(1996))また、「水とわずかに混合し、水面に浮遊するが、水と反応し、強い発熱があるので、発火が起こることがある」(ホンメル(1996))という情報により区分1とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。 「健康に対する有害性については他のリチウム化合物を参照のこと」
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、List 3の情報として、接触により皮膚に刺激と熱傷を生じる可能性があるとの記載(HSFS(2002))がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、List 3の情報として、接触により眼に刺激と熱傷を生じる可能性があるとの記載(HSFS(2002))がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分1A 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のデータはないが、リチウムは"Chemically Induced Birth Defects"(Birth Defects 3rd.(2000))で催奇形性物質としてあげられており、"Catalog of Teratogenic Agents"(Teratogenic 12th(2007))でもリチウム服用の妊婦において心臓奇形の出産報告が複数あり、ヒトに対する催奇形性が示唆されていることから、区分1Aとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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