GHS分類結果

名称:二酸化チオ尿素
CAS番号:1758-73-2

結果:
物質ID: 21A3659
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 区分1 危険 H251: 自己発熱:火災のおそれ P235+P410: 涼しいところに置き、日光を避けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P407: 積荷/パレット間に隙間をあけること。
P413: ...kg以上の大量品は、...℃以下の温度で保管すること。
P420: 他の物質から離して保管すること。
UNRTDG(UN3341)でクラス4.2、PGII、IIIに分類されている(UNRTDG(Rev.15, 2007))ため、区分1とした。なお、組成・形状により区分2ないし区分外になることもあるので、規定の試験を行って確認することが望ましい。(IMDGCode)
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含んでおり、この酸素が炭素、水素以外の元素(S)と化学結合しているが、データがないため分類できないとした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は1565 mg/kg(雄)、1496 mg/kg(雌)(OECD TG 401、GLP)(厚労省報告(access on Oct. 2009))、1120 mg/kg(SIDS(access on Oct. 2009))であるとの報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50値は>2000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(SIDS(access on Oct. 2009))であるとの報告に基づき、区分外とした。なお、国連分類基準の区分5に該当するかどうかは不明である。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50値(4時間)は 0.164 mg/L(OECD TG 403、GLP)(SIDS(access on Oct. 2009))であるとの報告に基づき、区分2とした。なお、「aerosol」(SIDS(access on Oct. 2009))との記載があり、粉塵と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
4時間適用試験のデータはないが、ウサギを用いた24時間適用パッチテストにおいて、無傷皮膚に中等度の刺激性(moderately irritating)がみられ、ドレイズスコア値3.3であることから(SIDS(access on Oct. 2009))、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験において、適用24時間後に軽度の角膜混濁および虹彩炎、中等度の結膜発赤、軽度から重度の結膜浮腫がみられ、7日目にこれらの影響のいくつかは部分的または完全に回復したが、軽度から重度の角膜混濁および角膜の血管新生が4/6匹に、角膜の潰瘍が2/6匹に、軽度の虹彩炎が3/6匹に、軽度の結膜損傷が全ての動物にみられ、本物質は重度(severe)の眼刺激性を示したと記載されている(SIDS(access on Oct. 2009))ことから、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いたドレイズテストにおいて、感作性はみられない(SIDS(access on Oct. 2009))が、OECDで承認された試験法ではないことから、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - in vivo試験では、マウスの骨髄を用いた小核試験は1試験(OECD TG 474、GLP)で陽性であるが、「外部の専門家による再試験を行うことが望ましい」との記載があり、その他3試験(2試験がOECD TG 474、GLP)では陰性である(いずれもSIDS(access on Oct. 2009))ことより区分外とした。なお、in vitro試験ては、2つのエームス試験(OECD TG 471)(SIDS(access on Oct. 2009)、厚労省報告(access on Oct. 2009))及びCHL/IU細胞を用いた染色体異常試験(OECD TG 473、GLP)(厚労省報告(access on Oct. 2009))で陽性、CHO細胞を用いたHGPRT試験(OECD TG 476、GLP)で陰性(SIDS(access on Oct. 2009))である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422、GLP)において、親動物に体重増加抑制などのみられる用量で、発情回数の減少および発情周期の延長、黄体数および着床痕数の減少、妊娠期間の延長、全胚吸収(3例)、出産仔数、新生仔数および出生率の減少または減少傾向が認められた(厚労省報告(access on Oct. 2009))ことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)、区分2(腎臓)、区分3(麻酔作用) 危険
警告
H371: 臓器の障害のおそれ(腎臓)
H370: 臓器の障害(呼吸器)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
呼吸器への影響としては、ラットを用いた4時間吸入暴露試験(エアロゾル)(OECD TG 403、GLP)において、用量0.117 mg/L以上で呼吸困難、貧血、チアノーゼ、運動性低下がみられ、剖検では用量0.059 mg/L以上で肺の出血、病理組織学検査でも同用量で肺への腐食作用(多発性線維症、炎症、浮腫、うっ血、繊毛の欠失など)がみられ、また、気管および鼻腔への影響(詳細不明)もみられている(SIDS(access on Oct. 2009))。腎臓への影響としては、ラットを用いた経口投与試験(OECD TG 401、GLP)において、用量1280 mg/kg以上の病理組織学検査で腎臓の皮髄境界部の灰白色化、尿細管の好塩基性化および間質の線維化などがみられている(厚労省報告(access on Oct. 2009))。また、麻酔作用として、ラットを用いた経口投与試験において、用量1120 mg/kgで鎮静状態、運動失調、反射低下などがみられている(SIDS(access on Oct. 2009))。以上より区分1(呼吸器)、区分2(腎臓)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
85人の労働者において、本物質に関連した症状の発生増加はみられなかった(SIDS(access on Oct. 2009))が、ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422、GLP)において、用量100 mg/kg(90日換算値:54.4 mg/kg)で、肝臓への影響として小葉中心性の肝細胞肥大、胆管内の好塩基性物および肝細胞の空胞変性、血液生化学検査での変化(アルブミン、A/G比、トリグリセライドおよびリン脂質の増加、グルコースの減少)がみられ、腎臓への影響としては尿細管壊死および尿細管上皮の好塩基性化、血液生化学検査での変化(尿素窒素、クレアチニンおよび無機リンの増加、カリウムの減少)がみられている(厚労省報告(access on Oct. 2009))。以上の結果より、区分2(肝臓、腎臓)とした。 なお、ラットの9ヶ月間吸入暴露試験においては、肺浮腫、肺炎、肺気腫、無気肺、脾臓の過形成および化生、甲状腺の濾胞上皮の落屑などがみられているが(IUCLID(2000))、一日当りの暴露時間が不明であるため、分類には考慮しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Scenedesmus subspicatus)の72時間EC50 = 32 mg/L(SIDS, 2002)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であるが、急速分解性がある(良分解、BODによる分解度:71-93%(既存点検, 1991))こと、かつ生物蓄積性が低い(LogKow = -3.37(PHYSPROP Database, 2011))と予想されることから区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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