GHS分類結果

名称:1, 4-ナフトキノン
CAS番号:130-15-4

結果:
物質ID: 21A3582
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は190 mg/kg bwおよび>300 mg/kg bwの報告(BUA 211(1998))があり、危険性の高い区分となる190 mg/kg bwに基づき区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50値は0.046 mg/L/4h(BUA 211(1998))に基づき、区分1とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.001439 mg/L)を超えているので粉塵とみなした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験において重度の刺激性("highly irritating"または"severe irritation")の結果(BUA 211(1998))、また、職業ばく露を受けた作業者による皮膚に対する刺激性の報告(BUA 211(1998))、およびヒトで湿った当該物質の粉末が皮膚に接触すると重度の刺激および腐食を起こす可能性があり、生じた傷害は徐ーであるが併発症もなく治癒するとの記述(BUA 211(1998))に基づき、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験において重度の刺激性("highly irritating"または"severe irritation")の結果(BUA 211(1998))、およびヒトで本物質ばく露後に眼に重度の刺激性(severe irritation)が見られたとの報告(BUA 211(1998))に基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた試験で呼吸器感作性試験が検討され、陽性反応を示す結果が得られている(BUA Report No.211(1998))。しかし、その結果についてはデータの扱いと報告が不適切であり、得られた所見が刺激性に因る可能性もあり、呼吸器感作性の評価はできないと記述されている(BUA Report No.211(1998))。したがって、データ不足のために分類できないとした。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた皮膚感作性試験による感作性あり(sensitizing:)の結果(BUA 211(1998))が報告されている。しかし、List 2の情報であり、かつOECDで承認された試験法ではないので「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - チャイニーズハムスターに経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)における陰性結果(BUA 211(1998))に基づき区分外とした。なお、in vitro 試験ではエームス試験、遺伝子突然変異試験(HGPRTアッセイ)で陰性(BUA 211(1998))、染色体異常試験でが陽性結果(BUA 211(1998))が報告されている。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた(平成16年8月27日基安化発第0827010号)既存化学物質である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - マウスの妊娠6-12日に経口投与した試験で妊娠への影響は無かった(BUA 211(1998))と報告されているが、データが古く(1958年)正確な用量も不明である。また、生殖能への影響に関するデータも無いので、データ不足のために「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(血液系、肝臓)、区分3(気道刺激性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(血液系、肝臓)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに500 mg/kgを経口投与によるメトヘモグロビン形成とそれに伴うハインツ小体の出現、ならびに溶血性貧血の所見(HSDB(2006))により区分2(血液系)とした。また、死亡例の病理組織学的検査の結果として、ラットの吸入ばく露試験(0.021〜0.065 mg/L)で肝細胞の空胞化と壊死、およびラットの経口投与試験(100〜300 mg/kg)では一部の動物で小葉中心性出血性壊死がそれぞれ記載されている(BUA 211(1998))ことから区分2(肝臓)とした。以上の分類根拠は全てList 2の情報であることから、区分1相当の場合も区分2として分類した。一方、本物質はヒトで気道刺激性が報告され、マウスの吸入ばく露試験において組織学的な影響は認められなかったが、呼吸数の減少を来たした結果から、本物質は上気道に重度の刺激を引き起こし、肺にも刺激性の兆候が見られたと結論され(BUA 211(1998))、これらの知見に基づき、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで赤血球数減少、白血球貪食能増加、ヘモグロビン濃度低下に加え、メトヘモグロビンとハインツ小体の出現が報告されている(HSDB(2006))。また、ラットに1日4時間6ヵ月間吸入投与(粉塵)により、0.7 mg/m3/4hr(0.0005 mg/L/6hr)を超える濃度で、チモール試験陽性、グリコゲン濃度低下、肝臓実質の変性など肝機能障害を示す所見(BUA 211(1998))があり、ヒトにおける毒性発現にも肝毒性の記載がある(HSDB(2006))。以上より標的臓器は血液と肝臓と見なされ、全てList 2の情報であることから区分2(血液系、肝臓)とした。なお、ラットの30日間経口投与試験においてメトヘモグロビン形成を含む血液指標の変化に加え中枢神経系障害が観察されている(BUA 211(1998))が、当該試験はプロトコールと結果についての報告が不十分であり、全身影響を評価するには適切でないとコメントされている(BUA 211(1998))ので、分類根拠に採用しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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