GHS分類結果

名称:硫黄
CAS番号:7704-34-9

結果:
物質ID: 21A3550
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分2 警告 H228: 可燃性固体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
国連危険物輸送勧告(UN1350)でクラス4.1、PGIIIであるので区分2とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が232℃(NFPA(13th, 2006))で70℃超である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含んでいない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット LD50値 >5000 mg/kg、>5000 mg/kg、>3000 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値 >2000 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS分類基準の固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットLC50値 >9.23 mg/L(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、毒性値(9.23 mg/L)が飽和蒸気圧濃度(0.0007 mg/L <30.4℃>)より高いので、粉塵での試験と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚に80%水和剤を適用した刺激性試験(OECD TG 404: GLP)において、刺激性スコアは全て0で刺激性なしの結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、ウサギに75%水和剤を適用した別の試験では「軽度の刺激性あり」または「ほとんど刺激性なし」の結果(農薬安全情報(1994))が得られている。また、EU分類ではXi:R38(EU-Annex I(2009))である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギの眼に80%水和剤を適用した刺激性試験(OECD TG 405: GLP)において、刺激性スコアは全て0で刺激性なしの結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、ウサギに75%水和剤を適用した別の試験では「軽度の刺激性」または「ほとんど刺激性なし」の結果(農薬安全情報(1994))が得られている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ヒトのパッチテストで感作性なし(not sensitizing)の結果(IUCLID(2000))、およびモルモットを用いた試験で感作性物質ではないとの情報(EPA RED(access on Aug. 2009))があるが、それ以上の詳細が不明であり、データ不足のため「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - モルモットの生殖細胞における染色体異常誘発知見および妊娠ラットの胎児における染色体損傷誘発知見(IUCLID, 2000)が認められるものの、試験法が一般的でなく、詳細が不明であることから評価できない。また、ラット骨髄染色体異常試験での陰性知見もあるが(IUCLID, 2000)、同様に詳細が不明で評価できない。従って、適切なin vivo試験がなく、データ不足で分類できない。なお、エームス試験(in vitro変異原性試験)では陰性の報告(IUCLID(2000))がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(気道) 危険 H370: 臓器の障害(気道) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで硫黄粉塵の曝露により、咳、咽頭痛、胸痛を伴う気管気管支炎を起こすと述べられている(PATTY(5th, 2001))。また、硫黄吸入の急性影響として鼻粘膜のカタル性炎症があり、過形成を起こす可能性があり、しばしば呼吸困難、持続性の咳や痰、時には血痰を伴う気管気管支炎を起こすと述べられている(HSDB(2003))。以上の知見に基づき、区分1(気道)とした。なお、実験動物ではラットに1000 mg/kg以上の経口投与で呼吸困難が認められている(IUCLID(2000))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器系、皮膚) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器系、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
硫黄採鉱場で2〜2.5年にわたりばく露をを受けた作業者がしばしば鼻出血、気管支炎、肺機能障害を呈したことが報告されている(IUCLID(2000))。硫黄粉塵および二酸化硫黄のばく露を受けた鉱山労働者では一般に慢性的な副鼻腔への影響や呼吸障害が見られるとも記載されている。List 2の情報であることを考慮し、区分2(呼吸器系)とした。一方、反復または長期間の職業曝露を受けた作業者の皮膚に面皰の発生が報告され(IUCLID(2000))、また、硫黄の長期間使用により皮膚に紅斑、湿疹、潰瘍形成などを起こす可能性があるとの記載(HSDB(2003))がある。実験動物でもウサギに10%試験物質を2週間経皮投与により、角質増殖に次いで面皰形成が(IUCLID(2000))が報告されている。これらの知見に基づき、List 2の情報であることを考慮し区分2(皮膚)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(Mysid)での96時間LC50 = 736 mg/L(AQUIRE, 2010)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - 急性毒性区分外であるが、急速分解性に関するデータや水溶解度の定量的なデータが得られていないことから、分類できないとした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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