GHS分類結果

名称:パラ‐メトキシニトロベンゼン
CAS番号:100-17-4

結果:
物質ID: 21A3524
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団(N-O)を含むが、UNRTDG(UN3458)でクラス6.1PGIIIとなっているため区分外とした。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - 分子内に自己反応性に関連する原子団を含まず、爆発性に関連する原子団を含むが、UNRTDG(UN3458)でクラス6.1PGIIIとなっており、タイプGと判断される。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点は458℃(NITE総合検索(2009)で70℃超である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 可燃性であり、またUNRTDGではUN3458クラス6.1PGIIIに区分されているので区分外とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は2600 mg/kg(BUA 10(1987))および4700 mg/kg(BUA 10(1987))に基づき、分類JISによる区分外(国連GHS分類の区分5に相当)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50値は>16000 mg/kg bw(BUA 10(1987))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギに24時間適用した試験で、刺激性なし(no irritant)との結果(BUA 10(1987))に基づき区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で、刺激性は適用1時間後が最大でドレイズスコアは7(最大110)であったことに加え、角膜上皮の損傷は観察されず、適用96時間後には僅かの刺激も観察されなかったとの結果(BUA 10(1987))に基づき、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro試験として、エームス試験で陽性(BUA 10(1987))、チャイニーズハムスターのV79細胞を用いる遺伝子突然変異試験(HGPRT tests)で陰性(BUA 114(1993))、ハムスターのV79細胞を用いる染色体異常試験で陰性(BUA 114(1993))、の報告がある。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた既存化学物質である。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスに104週間の混餌によるがん原性試験において、ラット(用量:混餌濃度2000〜8000ppm)では雄に肝細胞腺腫の発生増加と雌に子宮腺がん、肝細胞腺腫の発生増加がそれぞれ認められ、がん原性を示す証拠であると考えられた(がん原性試験:日本バイオアッセイ研究センター(2003))。マウス(用量:混餌濃度5000〜20000ppm)では、雌雄に肝芽腫及び肝細胞がんの発生増加、また、雌には肝細胞腺腫の発生増加がそれぞれ認められ、がん原性を示す明らかな証拠と考えられた(がん原性試験:日本バイオアッセイ研究センター(2003)。以上のようにラットおよびマウスにおいて高用量の投与でがん原性を示す明らかな証拠が得られていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットの経口投与による急性毒性試験(LD50 = 4700 mg/kg)の剖検所見として、微細脂肪滴を伴う肝臓および腎臓の脂肪変性などの記載(BUA 10(1987))があるが、ガイダンス値を超えた用量での所見であり、カットオフ値付近での変化が不明のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに28日間経口投与した唯一の反復ばく露試験では、最高投与量200 mg/kg bw(90日換算;62.2 mg/kg bw/day)においても肝臓重量の軽度増加以外に変化が見られていない(BUA 114(1993))が、ガイダンス値範囲内の用量である。その他にデータなく分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50 = 13.5 mg/L(BUA 114, 1996)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0%(既存点検, 1977)が、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 3.2 mg/L(ECETOC TR91, 2003)、藻類(緑藻)の72時間EC10=3.9 mg/L(BUA 114, 1996)であり、慢性水生毒性NOEC > 1 mg/Lであることから区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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