GHS分類結果

名称:3-メチルブタナール
CAS番号:590-86-3

結果:
物質ID: 21A3520
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が-5℃(ホンメル(1996))で23℃以下および初留点(沸点)が92.5℃(Ullmanns(E)(2003)で35℃超である。なお、UNRTDGではUN2058クラス3PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は240℃(NFPA(13th, 2006))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含むが、この元素が炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 >3200 mg/kg、>5000 mg/kg、6200 mg/kg、7660 mg/kg、5600 mg/kg(以上、SIDS(2000))、に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値 2730 mg/kgおよび>5000 mg/kg(以上、SIDS(2000))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットのLC50値 57 mg/L/4h(16186 ppmV/4h)(SIDS(2000))に基づき、区分4とした。なお、飽和蒸気濃度65789.5 ppmVの90%より毒性値が低いので、分類には気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギに4時間適用した試験(OECD TG404)で、皮膚一次刺激性指数(PII)が2.83(SIDS(2000))であり、ウサギに24時間適用した別の試験では強い刺激性(strong irritant)との結果(SIDS(2000))から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギのドレイズ試験において刺激性の程度が4/10で刺激性あり(irritating)との結果(SIDS(2000))、またウサギを用いた別の試験では著しい刺激性(Marked irritation)との結果(SIDS(2000))に基づき、区分2と判断した。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ボランティア29名による本物質1%ワセリン溶液のマキシマイゼーション試験において、皮膚感作性なし(not sensitizing)との結果(SIDS(2000))が得られている。この結果により、高濃度の試験物質を反復ばく露した場合には感作性の惧れを全面的に否定できないが、強力な感作性物質とは見なせない(SIDS(2000))と述べられていることは、明らかな陰性を結論付ける記述ではないので区分外とするには疑義があり、「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474)(体細胞in vivo変異原性試験)の陰性結果(SIDS(2000))に基づき、区分外とした。なお、in vitro試験では、Ames試験において陰性の報告がある(SIDS(2000))。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。なお、SIDS(2000)の評価によれば、本物質の構造的類縁物質であるプロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、3-メチルブタノール-1の生殖発生毒性に関するデータから判断し、本物質が胎児毒性起こす可能性は極めて低く、受胎能に対する悪影響の懸念もないと結論されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験装置から漏れた本物質のばく露を数日間にわたり受けた7人の化学者が、胸部逼迫、上気道の刺激、咳、呼吸困難などの毒性症状を呈したが、その原因を取り除くと速やかに回復したとの報告(SIDS(2000))がある。さらに、ばく露により鼻腔や上気道の粘膜が影響を受け、灼熱感、気管狭窄、窒息、咳をもたらすと記述されている(HSDB(2003))ことから、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。なお、アルデヒド類の毒性プロフィルが比較的類似していることから、他の構造的類縁アルデヒドの試験データに基づき、本物質の毒性を推定することができ、試験されたアルデヒドの全身毒性に関して、経口摂取のNOAELは300 mg/kg、吸入のNOAELは>150ppmであると記載されている(SIDS(2000))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 3.25 mg/L(SIDS, 2004)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分2であるが、急速分解性があり(OECD TG302Bでの10日後分解度:99%(SIDS, 2004))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow = 1.23(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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