GHS分類結果

名称:1-ブロモブタン
CAS番号:109-65-9

結果:
物質ID: 21A3518
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点18℃(密閉式)(NFPA(13th, 2006))で、初留点101.3℃(Merck(14th, 2006))であるため、区分2とした。なお、国連危険物輸送勧告(UN No.1126)でクラス3PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が265℃(Lide(88th, 2008))で70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 2761 mg/kg, 3161 mg/kg(いずれもHSDB(2006))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
HSDB(2006)に記載されたマウスのLC50値(30分)237 mg/L(4時間換算値:14952 ppm)に基づき、区分4とした。LC50値は、飽和蒸気圧濃度(309.877 mg/L)の90%値よりも低く、気体と判断し、ガスの基準値で分類した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - マウスを用いた試験において、皮膚刺激性がある(HSDB(2006))と記載されているが、投与方法や刺激性の程度などの詳しい記載が無く、またこの他に試験データも無いため、分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いた試験において、眼刺激性がある(HSDB(2006))と記載されているが、投与方法や刺激性の程度などの詳しい記載が無く、またこの他に試験データも無いため、分類できないとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - マウスを用いたLLNA法による試験において、皮膚感作性はみられない(HSDB(2006))が、試験結果の詳細が不明であり、他の試験データも無いため、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく分類できない。なおin vitroにおけるエームス試験、DNA-precipitation assay において陽性結果ある(HSDB(2006))。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた既存化学物質である。
6 発がん性 分類できない - - - - 厚生労働省委託がん原性試験(2007)(104週間吸入ばく露)において、「1-ブロモブタンの投与によってF344/DuCrlCrlj(Fischer)ラットは、雌雄とも腫瘍の発生増加は認められず、ラットに対するがん原性はないと結論する。B6D2F1/Crljマウスでは、雄の肺に細気管支-肺胞上皮癌の発生増加が認められ、雄マウスに対するがん原性を示す明らかな証拠である。雌では腫瘍の発生増加は認められなかった。」との結果が得られている。以上から、がん原性が示されたのはマウスの雄のみであり、試験結果に差が認められるためデータ不足により分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠中のラットを繰り返し暴露した試験において、「胚の生存率減少、生後仔の正常な発達の阻害」(HSDB(2006))との記載があるが、投与方法や投与量など詳しい試験内容の記載が無く、またこの他に試験データも無いため、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた経口投与試験において、用量1967.9 mg/kg 以上で努力性呼吸(labored respiration)、運動失調がみられる(HSDB(2006))との記載があるが詳細が不明なため、データ不足で分類できないとした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた28日間経口投与試験(用量:50, 200, 500 mg/kg(90日換算値:15.6, 62.2, 156 mg/kg))において、肝細胞の空胞変性がみられる(HSDB(2006))が、どの用量における所見であるか不明であり、またその他に症状の記載がないことから、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 36.7 mg/L(HSDB, 2006)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であるが、急速分解性があり(BODによる分解度:72%(既存点検, 1993))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow = 2.75(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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