GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:五塩化砒素
CAS番号:22441-45-8

結果:
物質ID: 20A2351
分類実施者: 厚生労働省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類できない - - - - 組成的に不燃性と考えられるがデータがなく分類できない。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 極低温(-50℃程度)の液体の状態では安定と思われるが、臨界温度の情報がなく、高圧液化ガスか低圧液化ガスかの特定はできない。
6 引火性液体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
12 水反応可燃性化学品 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
13 酸化性液体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
15 有機過酸化物 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質のデータは無いが、無機ヒ素化合物としてヒトに皮膚感作性を示す可能性があるとしているが確定的な結論ではないこと(ATSDR, 2007; HSG, 1992)、加えて、EHC 224(2001)のヒトにおける記述”無機ヒ素の皮膚感作性の発現はまれである”ことから、データ不足により分類できないとした。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。なお、ドイツDFGではヒ素および無機ヒ素化合物を生殖細胞変異原性カテゴリー3A(GHS区分1B-2相当)に分類している(MAK/BAT, 2005)。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC Suppl. 7(1987)、ACGHI-TLV(2008)、MAK/BAT(2004)においてヒ素およびヒ素化合物はヒト発がん性物質と分類されているため、区分1Aとした。なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の知見は認められなかったが、ヒ素およびヒ素化合物についての、List 1のEHC 224(2001)のヒトに関する記述”生殖への影響が示唆される”および動物での知見”母体毒性が認められる用量での胎児毒性および催奇形性”から区分2とした。なお、List 1相当のCatalog of teratogenic agents(2004)には”無機ヒ素はヒトの催奇形性物質ではないとの結論を支持”との記述がある。 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(消化器系、循環器系、神経系、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、肝臓) 危険 H370: 臓器の障害(消化器系、循環器系、神経系、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、肝臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の単回暴露によるデータは見つからなかったがヒトでは、「ヒ素化合物のヒトでの急性毒性としては消化管、心血管系、神経、血液系の症状、結膜炎及び皮膚炎を生じさせるとともに鼻粘膜、咽頭、気管への刺激、ヘモグロビン塊の尿細管遮断による頻尿もしくは無尿症」(IARC 23(1980))、「骨髄機能抑制、肝臓肥大」(EHC 224(2001))等の記載があることから、消化管、循環器、神経、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、肝臓が標的臓器と考えられた。以上より区分1(消化器系、循環器系、神経系、血液系、呼吸器、皮膚、腎臓、肝臓)に分類した。 なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(消化器系、循環器系、神経系、腎臓、肝臓、血液系、呼吸器系、皮膚) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(消化器系、循環器系、神経系、腎臓、肝臓、血液系、呼吸器系、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の反復暴露によるデータは見つからなかったが、ヒ素及び無機ヒ素化合物に関するEHC 224(2001)のヒトにおける記述”胃腸管障害、神経障害、血液系への影響、心血管系、腎臓、肝臓の異常が見られた。標的臓器は胃腸管、心臓、脳及び腎臓である。皮膚、骨髄及び末梢神経系も影響を受ける”、加えてACGIH(2001)の上部気道及び肺への影響との記述より、区分1(消化器系、循環器系、神経系、腎臓、肝臓、血液系、呼吸器系、皮膚)とした。 なお、毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 毒物劇物取扱の手引(時事通信社、最新版、2001)に「-25℃で分解を始める」との記載があり常温では安定しては存在しないと考えられる。 分解して生成する三塩化ヒ素(CAS 7784-34-1, ID20A2342)及び塩素(CAS 7782-50-5, 政府分類ID570)を参照

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) - - - - - -
11 水生環境有害性(長期間) - - - - - -


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る