GHS分類結果

名称:メチル=(E)‐メトキシイミノ‐{(E)‐アルファ‐[1‐(アルファ,アルファ,アルファ‐トリフルオロ‐メタ‐トリル)エチリデンアミノオキシ]‐オルト‐トリル}アセタート(別名トリフロキシストロビン)
CAS番号:141517-21-7

結果:
物質ID: 20A2329
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 爆発性に関わる原子団(N-O)を含み、酸素収支は-178と判定基準の-200よりも高いために火薬類からは除外されないが、データがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - フッ素、酸素を含み、酸素原子は窒素原子と結合しているがデータがない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50が>5000mg/kg bw(JMPR No. 1023(2004))は区分外に該当する。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50が>2000mg/kg bw(JMPR No. 1023(2004))はJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットLC50が>4.65mg/L(JMPR No. 1023(2004))との報告があるが、区分3か4かを特定できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で僅かな刺激性(slightly irritating)(JMPR No. 1023(2004)に基づきJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験でModerately irritating(unwashed)、Non-irritating(washed)(JMPR No. 1023(2004))との報告があり、洗浄せずの結果を採用し区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを使用したMaximization test で陽性(sensitizing)、及びBuehler testで陰性(Non-sensitizing)(JMPR No. 1023(2004))の報告があり、EUでもR43に分類していることより区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo 変異原性試験(マウスの骨髄を用いる染色体異常試験)で陰性(JMPR No. 1023(2004))の報告に基づく。尚、in vitro試験であるエームズテスト、及び染色体異常試験 でも陰性(JMPR No. 1023(2004))の報告もある。
6 発がん性 区分外 - - - - マウスを使用した混餌投与による18ヶ月試験において、高投与群で肝臓に異常が見られたが、悪性リンパ腫、新生物の出現は投与量依存性はなく、コントロールの履歴値と同等であり、発がん性は認められなかった。ラットを使用した混餌投与による24ヶ月試験において剖検、鏡検において明らかな投与量依存性の異常は見られず、腫瘍の発生も確認されなかった(JMPR No. 1023(2004))。以上の報告より区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを使用した混餌投与による2世代試験において、親動物の死亡、交尾数、同腹仔数、妊娠率、妊娠期間、分娩数、生存仔数に影響なく、生殖器、生殖系への影響も見られなかったが、高中投与群のF2仔の授乳期間中の体重が低かった。妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験で妊娠6-16日の母獣の低体重が見られた。着床前後の喪失、同腹仔数、胎児体重に影響は見られなかった。1000mg/kg投与群の胎児に腫大胸腺の出現率がコントロール、ヒストリカルコントロールより高かった。妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した試験で250、500mg/kg投与群で母獣の体重増加抑制が見られた。500mg/kg投与群の胎児に第3、第4胸骨分節癒合はコントロールより僅かに高かったが、着床前後の喪失、同腹仔数、胎児体重に影響は見られなかった(JMPR No. 1023(2004))。以上の報告より、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを使用した混餌投与による3ヶ月試験において、肝細胞肥大、肝単細胞壊死が見られたが、区分2のガイダンス値以上の濃度であった。ラットを使用した混餌投与による28日間、90日間の試験いずれにおいても肝重量増加が見られたが、鏡検所見はなく、いずれも区分2のガイダンス値以上の濃度であった。イヌを使用した経口投与(カプセル)による52週試験において、区分2のガイダンス値内で肝臓重量の増加、肝細胞肥大の出現率及び重症度の増加が見られた(JMPR No. 1023(2004))。以上の報告より区分2(肝臓)に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=0.00862 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性データが得られていないことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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