GHS分類結果

名称:1‐ドデシルグアニジニウム=アセタート(別名ドジン)
CAS番号:2439-10-3

結果:
物質ID: 20A2226
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。(136℃, Ullmanns(E)(6th, 2003))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。(融点:136℃(Howard(1997))

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値(雄: 750-1540, 851, 1931 mg/kg bw、雌: 660, 851, 1117 mg/kg bw)(JMPR(2000))に加え、EUの分類が Xn; R22であることから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値 >2000 mg/kg(JMPR(2000))より、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5又は区分外)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLC50値が雄 0.47 mg/L/4h、雌 0.44 mg/L/4h(JMPR(2000))より、区分2とした。 (被験物質の飽和蒸気圧濃度は 2.32E-006 mg/L であり、試験濃度 0.44, 0.47 mg/L は飽和蒸気圧濃度を超える値であるから、粉塵と判断した。)
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験により7日間の時点で重度な刺激性(JMPR(2000))、また別のウサギを用いた試験においては軽度の刺激性(JMPR(2000))とあるが、EUの分類がXi; R36/38であることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験において21日目で重度な角膜混濁(JMPR(2000))、別のウサギを用いた試験で重度な刺激性(JMPR(2000))とあり、角膜混濁が21日で回復しないことから区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた感作性試験で感作性なしの記述(JMPR(2000))に基づき区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの経口投与によるによる小核試験(体細胞 in vivo 変異原性試験)の2例の陰性結果(JMPR(2000))に基づき、区分外とした。なお、in vitro 変異原性試験(エームス試験、ハムスターの卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ヒトのリンパ球を用いた染色体異常試験)の3つの試験のいずれも陰性(JMPR(2000))である。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットを用いた 106週間の経口投与試験で雄で肝腺腫と癌腫が用量に依存して見られた(JMPR (2000))。また、 マウスを用いた78週間の経口投与試験で雌の肝細胞性腺腫と混合性肝細胞腺腫/肝細胞がんの発生率の上昇が観察されたが(JMPR (2000))、結論としてヒトでの発がんのリスクはないと結論していることから区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠中のラットとウサギに強制経口投与した試験で仔の生殖または発育上のパラメータで当該物質投与による影響の証拠がなかった(JMPR(2000))とあるが、親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響に関してはデータがなく、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(全身毒性) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
経口ばく露試験の結果として、ラットを用いた混餌投与による4試験(4週、28日、90日、106週)と胃管投与による1試験(4週)、マウスを用いた混餌投与による3試験(8週、13週、78週)、イヌを用いた混餌投与による1試験(52週)の合計9試験のデータ(JMPR(2000))が得られたが、この中でラットを用いた混餌投与による4試験(4週、28日、90日、106週)とイヌを用いた混餌投与による1試験(52週)はいずれも最高用量がガイダンス値範囲内で重大な毒性影響の記述がないことから分類に結びつくデータではなかった。また、マウスを用いた混餌投与による3試験(8週、13週、78週)で肺のうっ血、脾臓の細胞欠損およびリンパ球性萎縮、胸腺の壊死等がガイダンス値範囲上限を超えた用量で見られたが、いずれの試験も重大な毒性影響がガイダンス値区分内で認められていない。しかしながら、ラットの胃管投与による1試験(4週)では全用量(75, 100, 200 mg/kg/day [90日補正:23, 31, 62 mg/kg/day])で死亡例が発生し、流涎、健康状態悪化、呼吸困難等の症状が用量依存的に発現し、高用量の200 mg/kg/dayではBUN、総ビリルビン、GPTの上昇、糖、蛋白、アルブミン等の低下に加え病理組織学的に胃、脾臓、胸腺、副腎、腸における病変、さらに消化管の検査により75および100 mg/kg/dayの用量では胃の扁平粘膜の浮腫、混合型浸潤および過形成等が見出された。胃の病変に限れば試験物質の刺激性に起因すると見なされるが、死亡例もありその他の影響を含め標的臓器の特定が困難なため区分2(全身毒性)とした。 経皮ばく露の場合、ラットに3あるいは4週間投与(最高用量200 mg/kg/day[90日補正:62 mg/kg/day])の結果、皮膚適用部位の病変を除き試験物質による影響、特に全身毒性は認められなかった(JMPR(2000))が、このデータのみでは分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48h-EC50=0.0178mg/L(AQUIRE, 2008)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(推定値:SRC: BioWin V4.10)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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