GHS分類結果

名称:ノルマル酪酸
CAS番号:107-92-6

結果:
物質ID: 20A2163
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が77℃(Merck(14th, 2006))で60℃超、93℃以下である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が443℃(HSDB(2006))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50の報告が3件あり(2000, 2940, 8790 mg/kg)、いずれも2000mg/kg以上(PATTY(5th, 2001))によりJIS分類基準の区分外(国連GHSの区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギのLD50の報告が2件あり、危険性の高い方のデータ 530 mg/kg(PATTY(5th, 2001))を採用し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットを飽和蒸気(25℃で2170ppm)に8時間(4時間換算3069ppm)吸入暴露しても死亡例なし(PATTY(5th, 2001))との報告があるが、LC50値が不明であり、区分が特定できないことから分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
List 1(PATTY(5th, 2001))にウサギの試験でsevere irritant、List 2(IUCLID(2000)にウサギの試験((OECD Guide-line 404)でcorrosiveの報告がある。EUはR34に分類している。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギの試験でsevere corneal burns(PATTY(5th, 2001))の報告があり、皮膚腐食性/刺激性で区分1に分類している。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro試験(エームズテスト、染色体異常試験)で陰性(PATTY(5th, 2001))の報告はあるが、in vivo試験の報告は無く、データ不足により分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験において、母獣の死亡率が高く、体重増加も著しく抑制されたが、仔に対する影響は無かった(PATTY(5th, 2001))との報告はあるが、生殖毒性に関する報告は無く、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肺) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肺) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの吸入暴露試験(エアロゾル)で40mg/L/1.5h(4時間換算値15mg/L/4h)の用量で気管支炎、肺気腫の兆候が見られた(PATTY(5th、2001))との報告はあるが、区分2のガイダンス値外である。他のウサギの吸入試験でガイダンスの区分1に該当する0.4mg/L/1.4h(4時間換算値0.24mg/L)の用量で肺の鬱血、浮腫、無気肺、肺水腫が見られた(IUCLID(2000))の報告があり、区分1(肺)に相当するが、リスト2のデータであることから区分2(肺)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに35週間混餌投与した試験で4匹に胃の乳頭腫症、角質増生が見られた(PATTY(5th, 2001))の報告はあるが、詳細は不明であり、データ不足により分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48h-LC50=61mg/L(HSDB, 2006)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性分類は区分3であるが、急速分解性があり(BOD分解度=72%(HSDB, 2006))、生物濃縮性が低いと推定される(logPow=0.79(PHYSPROP Database, 2008))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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