GHS分類結果

名称:1,3,5‐トリクロロ‐1,3,5‐トリアジン2,4,6‐トリオン;トリクロロイソシアヌール酸(別名シムクロセン)
CAS番号:87-90-1

結果:
物質ID: 20A2145
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - UNRTDG 5.1に分類されている。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J)(2007)
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - UNRTDG 5.1に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J)(2007)
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J)(2007)
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分2 危険 H272: 火災助長のおそれ:酸化性物質 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。
P221: 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
UNRTDG 5.1IIである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値406 mg/kg〔HSDB (2008)〕、490 mg/kg〔IUCLID (2000)〕、750 mg/kg (HSDB (2008))は区分4に該当する。なお、ラットのLD50値1000 mg/kg, 1060 mg/kg(male), 1010 mg/kg(female)〔以上、IUCLID (2000)〕のデータがあるが、元文献の記載がなかったため分類根拠には採用しなかった。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値>2000 mg/kg(IUCLID(2000))、ウサギのLD50値20000 mg/kg(IUCLID(2000))、ウサギのLDLo=5010 mg/kg(RTECS(2003))はJIS分類基準の区分外(国連分類基準でも区分外)に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットのLC50は>50 mg/L/1h( > 12.5mg/L4h)(IUCLID (2000))であり区分外に該当する。なお、蒸気圧は1.25E-007mmHg(25℃, est) [換算値 0.0000166625Pa(25℃, est)](Howard (1997)、SRC (Access on Sep. 2008))である。蒸気圧から飽和蒸気濃度を換算すると0.01558mg/Lとなることから粉塵と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験でmoderately irritating(IUCLID(2000))とあり、また、ウサギのStandard Draize testでmoderate(RTECS(2003))とあることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いたドレイズテストの所見にhighly corrosive(IUCLID(2000))、severe(RTECS(2003))とあることから区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 当該物質を使用したin vivo試験データがなく分類できない。in vitro変異原性試験では、Ames test(IUCLID(2000))、Mouse Lymphoma assay(IUCLID(2000))で陰性の結果が得られている。なお、代謝物であるシアヌル酸のモノナトリウム塩の強制経口投与によるラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)は陰性(IUCLID(2000))である。
6 発がん性 分類できない - - - - 当該物質で行われた試験データはないため分類できないとした。なお、代謝物であるシアヌル酸のモノナトリウム塩の飲水投与によるラット24ヶ月、マウス104週間試験の結果において、腫瘍の発生の増加は認められない(IUCLID(2000))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 当該物質を使用した試験データがないため分類できないとした。なお、代謝物であるシアヌル酸のモノナトリウム塩のラットを用いた飲水投与による3世代生殖毒性試験で親の生殖能、性機能および仔の発生に影響はなく、ラットとウサギを用いた器官形成期の経口投与による発生毒性試験でも胎児毒性および催奇形性に影響は認められていない(IUCLID(2000))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 当該物質を使用した試験データがないため分類できない。なお、代謝物であるシアヌル酸のモノナトリウム塩のラットとマウスを用いた13週間の反復暴露試験において、ラットで膀胱結石(IUCLID(2000))、マウスで膀胱の上皮の過形成(IUCLID(2000))の報告がある。シアヌル酸の塩素化物質は哺乳類では体内に入った場合、安定した脱塩素化合物に急速に代謝されるので試験にはシアヌル酸およびその塩を使用し、当該物質の評価とした(IUCLID(2000))との記述がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.08 mg/L(ECOTOX, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない難分解、BODによる分解度:0%(既存点検データ, 1978))ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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