GHS分類結果

名称:2‐ブロモ‐2‐ニトロプロパン‐1,3‐ジオール(別名ブロノポル)
CAS番号:52-51-7

結果:
物質ID: 20A2139
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - UNRTDG 4.1IIIであるから、上位の火薬類に該当しない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 区分2 警告 H228: 可燃性固体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
UNRTDG 4.1III, ERG 133は区分2に該当する。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - UNRTDG 4.1IIIであるから、上位の自己反応性化学品に該当しない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - UNRTDG 4.1IIIであるから、上位の自然発火性固体に該当しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点:130-133℃(Chapman Ver. 16:2(2008))。融点が140℃以下の固体の場合、試験法を適用できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値(180 mg/kg、307 mg/kg(雄)、342 mg/kg(雌)、400 mg/kg(いずれもDFGOT vol.2(1991))の4つのうちうち3つが区分4に該当するため区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50 = 3500 mg/kg(DFGOT vol.2(1991))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類の区分5)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50 = 180 mg/m3/4H(= 0.18 mg/L/4H)(DFGOT vol.2(1991))に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた20%水溶液の24時間適用の皮膚刺激性試験において中等度〜重度の刺激性が認められている(DFGOT vol.2(1991))が、1%アセトン溶液、5%ポリエチレングリコール溶液の6時間適用では刺激性がみとめられず(DFGOT vol.2(1991))、粉体0.5gの24時間適用でも刺激性が認められていない(DFGOT vol.2(1991))。一方、ヒトのパッチテストでは0.25%、1%ワセリンまたは0.25%水溶液の24時間適用で軽度の刺激性がみとめられていること(DFGOT vol.2(1991))、EUがXi; R37/38としていることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギの試験において、5%ポリエチレングリコール溶液の適用によって回復性の重度の刺激性が認められ(DFGOT vol.2(1991))るが、10、20%水溶液の適用の場合、重度の刺激性が認められ35日後に回復とあることから(DFGOT vol.2(1991))高濃度溶液の場合は21日内に完全に回復しないと考え区分1 とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いたMaximization testにおいて弱い感作性(2/10)が報告されているが、他のモルモットを用いた試験では感作性なしと判断されていること、ヒトのパッチテストでは感作性なしの結果と疑陽性の結果が得られていることから分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスのin vivo優性致死試験(DFGOT vol.2(1991))において陰性であり、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(HSDB(2004))においても陰性の結果であることから、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - ラットの2年間の経口投与試験およびマウスを用いた80週の経皮投与試験(DFGOT vol.2(1991))において、発がん性は認められないが、いずれの投与経路も1種の動物のデータしかないことからデータ不足で分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期に経口または経皮ばく露した発生毒性試験およびウサギの器官形成期に経口ばく露した試験において、仔の発生に影響は見られなかった(DFGOT vol.2(1991))。しかし、親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響に関して十分なデータはなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに経皮ばく露後、努力性呼吸、肺のうっ血があり、吸入ばく露(ミスト)では呼吸困難、肺炎など呼吸器系症状が記載されている(HSDB(2004))が、発現用量、および吸入ではばく露時間も不明のため区分1または2に分類できない。しかし、吸入(ミスト)により呼吸困難を起こすとのHSDBの記載から区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた13週間経口投与試験において、80 mg/kg/day以上で死亡例の発生が目立ち、大半の動物が呼吸困難(喘ぎ、喘鳴)となり、剖検ではガスと体液による消化管の拡張を示した。160 mg/kg/dayでは症状がより強くなり、胃において出血と粘膜の白色域を生じた(HSDB(2004))。多くの動物が胃の粘膜下層では炎症を伴う表在性の潰瘍や上皮の肥厚・角質増殖などの胃の病変を示し、死亡率が高くなった(HSDB(2004))。また、腎臓では好酸性物質を含む尿細管の拡張が投与群の雄動物で見られた(HSDB(2004))。しかし、胃の病変は試験物質の刺激性による局所影響と見なされ、また、腎臓の変化は雄ラット特有のα2uグロブリン蓄積による硝子滴変性の可能性を否定できず、いずれも分類対象としなかった。呼吸困難を呈した呼吸器系への影響に関しては、80 mg/kg/dayの用量以上で認められたことから区分2(呼吸器系)とした。なお、その他にラットおよび他の動物種を用いた経口あるいは経皮投与による試験が実施されている(DFGOT vol.2(1991), HSDB(2004))が、得られたデータがいずれも分類根拠とするには不十分と考えられた。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 1.6 mg/L(AQUIRE, 2008)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2であり、急速分解性がない(BOD:0%(既存点検, 2002))ことから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る