GHS分類結果

名称:ジメチルエーテル
CAS番号:115-10-6

結果:
物質ID: 20A2102
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
爆発限界が3.4-18vol%で、爆発範囲12%以上である。 (UNRTDG2.1およびERGスケジュール115)
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - 引火性ガスであるため、酸化性はない。
5 高圧ガス 低圧液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 沸点-24.8℃(Merck(14th, 2006), Ullmanns(6th, 2003), Howard(1997), HODOC(3rd, 1997), Lide(88th, 2008), HSDB(2008), ICSC(2002), ICSC(J)(2002))であり、臨界温度126.95℃(Matheson(7th, 2001))より低圧液化ガスである。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHS定義による気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入試験(4時間暴露)における、LC50:164,000ppm(DFGOT(vol.1, 1991), PATTY(5th, 2001))のデータを採用し区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体である。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoのデータはなく、in vitro変異原性における陰性結果(DFGOT(vol.1, 1991), IUCLID(2000))のみであり、分類できないとした。
6 発がん性 分類できない - - - - ラットを用いた104週間の吸入暴露試験(1日6時間、週5日間)において、良性および悪性乳腺腫癌が対照群より増加している(36%)が、ヒストリカルコントロールの上限値(53%)とほぼ同程度(52.8%)発生している(DFGOT(vol.1, 1991), PATTY(6th, 2001), IUCLID(2000))ため陰性結果とは言いきれない。1試験しか実施されていないためデータ不足で分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた交配前13日間の吸入試験(1日6時間)において生殖行動、妊娠への影響はなかったが、この動物にさらに妊娠6〜16日に吸入暴露(1日6時間)した結果、仔に重篤な変化はみられなかった((DFGOT(Vol.1, 1991)。しかし、雄の生殖毒性情報がないため分類できないとした。また、DFGではD(分類できない)としている(MAK/BAT, 2007)。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ガイダンス値を超える用量で実施されたウサギの吸入試験(45分)およびイヌの吸入試験(5分)において麻酔作用、血圧の低下、心拍数の増加の記載(DFGOT (vol.1, 1991))、また、ヒトにおいて意識喪失、視野喪失、痛覚喪失などの神経系の影響記載(DFGOT (vol.1, 1991))があることから区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットの14日間の吸入試験(1日6時間、週5日間)において10000ppmの用量で体重の減少以外に顕著な影響は認められずNOAELは<10000ppmとしている。また、ラットの13週間吸入試験(1日6時間、週5日間)において、20000ppmの用量でSGOTの増加および肝重量の減少およびSGPTの増加が認められたが、2000ppmの用量では認められていない。ハムスターの13週間吸入試験(1日6時間、週5日間)において、20000ppmの用量で白血球数の減少の所見が得られた(DFGOT(vol.1, 1991))が、10000ppmの用量では有意ではなくNOAELを5000ppmとしている。これらの用量は、いずれもガイダンス値区分2の範囲の上限を超えていることから区分外(吸入)に該当するが、他経路でのデータがないことからデータ不足で分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(グッピー)の96時間LC50 > 4000 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 4000 mg/L(いずれもIUCLID, 2000)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度:4.6E+004 mg/L(PHYSPROP Database, 2008))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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