GHS分類結果

名称:メタクリル酸イソブチル
CAS番号:97-86-9

結果:
物質ID: 20A2086
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が35℃(密閉式)(IUCLID,2000)なので、区分3(23〜60℃)の範囲内である。また、TDG分類においてもクラス3IIIで区分3にあたる。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - 自己反応性に関連する原子団(不飽和結合であるアクリル基)を含むが、一般流通品は自己重合防止剤(ハイドロキノンモノメチルエーテル)を加えた国連危険物輸送勧告ではUN2283(クラス3)であり、自己反応性化学品には該当しないので、タイプGに分類される。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が390℃〜514℃(ホンメル,1996、IUCLID,2000)で70℃以上であり、TDG分類がクラス3(UN No.2283)であることから区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50が6400〜12800, 9600, 11824 mg/kgであり(ECETOC JACC 36,1996)、区分外である。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - モルモットのLD50値が>17760 mg/kg であり(IUCLID, 2000)、区分外である。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットの6時間LC50は3600 ppm以上(ECETOC JACC No.36,1996)であり、4時間換算値は約4410 ppm以上 となる。蒸気圧にはHSDB(2003)に3.63mmHg(25℃)[換算値 483Pa(25℃)]、Howard(1997)に4.11mmHg(25℃)[換算値 547Pa(25℃)]があり、それぞれの飽和蒸気圧濃度を換算すると4782 ppm、5416 ppmとなり、飽和蒸気圧濃度の90%より低い値であるので「ミストがほとんど混在しない蒸気」であり、区分4または区分外となりデータ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギの24時間適用したDraize Testにおいて、明確な紅斑と中程度の浮腫がみられた(ECETOC JACC No.36(1996))とあり。さらにEU分類では Xi,R36/37/38であることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギの試験(OECDガイドライン405準拠、GLP)ECETOC JACC No.36(1996)によると区分外である。EU分類が R36/37/38iであるが、専門家の判断により区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - EU分類がR43であり、ヒトでのパッチテスト(IUCLID,2000)において5人にアレルギー性過敏症との報告があるが「あいまい」との評価である。モルモットを用いた試験(ECETOC JACC No.36,1996)における陰性データがあり、データが限定的であるため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECDガイドライン474)(ECETOC JACC No.36,1996)(体細胞in vivo変異原性試験)において陰性であることから区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの妊娠5、10、15日目に腹腔内投与した発生毒性試験において、吸収胚、骨格異常の報告(ECETOC JACC No.36(1996))があるが、生理食塩水、綿実油を用いたコントロール群にも骨格異常が認められ、腹腔内投与も不適切であるとの記述があるため、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットの4時間の吸入試験において、14日目には回復する運動低下、斜視、眼の紅斑、軽度の呼吸困難などの症状が2mg/L(飽和蒸気圧の90%未満で蒸気と考えられる)以上の用量で報告(IUCLID(2000))されているが、他に情報がなくデータ不足で分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットの吸入による4週間試験および混餌による4〜6ヶ月試験(いずれもPATTY 5th(2001))のデータは、投与量や暴露時間などの詳しい記述が無く、データ不足により分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchn eriella subcapitata)での72h-EC50=0.29mg/L(ECETOC, 1997)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性分類は区分1であるが、急速分解性があり(OECD TG301Dでの28日分解度=74.3%(ECETOC, 1997))、かつ生物濃縮性が低いと推定される(logPow=2.66(ECETOC, 1997))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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