GHS分類結果

名称:2‐フェニルアニリン
CAS番号:90-41-5

結果:
物質ID: 20A2081
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が450℃(Chapman Ver. 16:1(2008))であり、70℃超である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素又は塩素を含まない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50 = 2340 mg/kg(NTP TR233(1982))により、分類JISによる区分外とした(国連GHSの区分5に該当)。なお、1群4匹の(雄2匹雌2匹)のラットを用い1, 10, 100, 1000および10000 mg/kgの用量に亘り実施された単回投与試験において、1000 mg/kg以下では試験物質による死亡の発生はなかった(NTP TR233(1982))。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 体細胞in vivo遺伝毒性試験のSCE試験で陰性だが(HSDB, 2004)、in vitro変異原性試験のAmes試験(NTP DB(Access on Nov. 2008))ならびに染色体異常試験では陽性であった(RTECS(2006)。in vivo変異原性試験のデータがなく、データ不足で分類できない。なお、in vitro染色体異常試験の陽性は、細胞毒性に起因したものと推察されている(Environ Mol Mutagen., 43, 36-44, 2004)
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
2-フェニルアニリン塩酸塩を用いたラット及びマウスの2年間混餌投与試験において、ラットでは試験終了時に雌雄とも僅かな体重増加抑制が認められたが、生存率は対照群と変わらず、試験物質投与に結びつけられる腫瘍発生頻度の増加も見られなかった(NTP TR233(1982))。しかし、マウスの場合は体重変化は対照群とほとんど差がなかったが、高用量群で雄の生存率が有意に低下し、血管肉腫の発生頻度の用量依存的な増加が雌雄共認められた(NTP TR233(1982))。以上のマウスでの試験結果に加え、EU分類におけるカテゴリー3;; R40に基づき区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスに経口投与後、高用量群の死亡例では過剰興奮に続く虚脱、浅呼吸が観察されたが、中・低用量群の生存ラットで投与後24時間以内に嗜眠が認められた(NTP TR233(1982))こと、また別のラットを用いた試験で経口投与後の症状として昏睡が記載されている(RTECS(2006))ことから区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(造血系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(造血系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに14日間の経口投与により10000 ppm(90日補正:77.8 mg/kg/day)以上で脾臓の肥大を示し、3000 ppm(90日補正:23.3 mg/kg/day)以上で腸間膜リンパ節の肥大と腎髄質の出血が認められ、マウスに1000〜30000 ppm(90日補正:23.3〜700 mg/kg/day)を14日間の経口投与した場合にもリンパ節の肥大と腎髄質の出血が全ての投与動物で発生している。ラットおよびマウスに13週間経口投与した試験ではヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリットの用量依存的な減少と白血球数の増加が観察され、病理組織学的には脾臓のヘモジデリン沈着、うっ血、髄外造血が3000 ppm(150 mg/kg/day)以上の雄および1000 ppm(50 mg/kg/day)以上の雌で観察された。一方、14日間の経口投与で見られた腎臓への影響は、13週間投与のマウスでは観察されず、ラットの場合もガイダンス値範囲を超えた最高用量の30000 ppm(1500 mg/kg/day)で尿細管変性、乳頭壊死、間質線維化などが認められ、ばく露期間が延びるとむしろ影響が減弱したことから、腎臓の所見は分類に採用しなかった。以上の結果を総合して、貧血を示唆する血液指標の変化、脾臓の病理組織学的変化、さらに13週間投与の10000 ppm(500 mg/kg/day)以上で見られた骨髄の赤芽球過形成も勘案して区分2(造血系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る