GHS分類結果

名称:ガンマ‐アミノプロピルトリエトキシシラン
CAS番号:919-30-2

結果:
物質ID: 20A2060
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点96℃(closed cup)(SIDS(access on July 2008))であり、93℃以上である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点-70℃(SIDS, access on 7. 2008)であり、融点が140℃以下の液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 半金属シランを含むが、水溶解度 7.6X10^5 mg/l @ 25℃(SIDS(access on July 2008))であることから区分外である。
13 酸化性液体 分類できない - - - - フッ素及び塩素を含まないが、酸素を含み、この酸素がSiと化学結合しているため分類対象外ではないが、データ不十分で分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 沸点217℃(Sax(11th, 2004), HSDB(2002))で55℃以上であるが、データ不足のため分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた試験において、LD50値 1570(雌)、2830(雄)mg/kg および 3.65ml/kg(雌/雄)(SIDS,(access on July 2008))のデータが得られた。GLP試験かつ安全側の結果LD50値1570mg/kg(雌)を採用し、EU警句R22「飲み込むと危険」(EU-Annex I, access on 7. 2008)もあることから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた試験における、LD50値4.29g/kg bw(SIDS,(access on July 2008))のデータを採用し、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットの吸入試験におけるLC50値16ppm以上(4h換算値19.6ppm以上)(SIDS, access on 7. 2008)が得られたが、このデータだけでは区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットを用いた吸入4h暴露試験のLC50: 7.35mg/L(換算値:812ppm)(SIDS, access on 7. 2008)に基づき、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた試験にて、脱毛症、潰瘍、壊死が観察された。また、可逆的ではあるが、斑状出血、中〜重度の浮腫が観察されており(SIDS, access on July 2008)、重篤な皮膚への腐食性を示すと考えられたことから区分1とした。Draizeスコアを記載したデータがないため区分1における細分化はできない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験(OECD405)のデータを採用。非洗眼群 および洗眼群における角膜壊死(SIDS, access on July 2008)の結果に基づき、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いた試験において、ピーナツオイルを媒体としたデータ(1997)で刺激性が認められたことから区分1とした。また、他の2試験のデータ(1996, 1987)は、生理食塩水および水を媒体としているが、加水分解した物質のデータ(SIDS, access on July 2008)であるため評価に用いなかった。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivoの変異原性試験)における陰性結果(SIDS, access on July 2008)に基づいて、区分外とした。なお、in vitro変異原性試験(エームス試験、CHL細胞を用いた染色体異常試験)の結果は陰性である(SIDS(Access on July 2008))。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期に経口投与した発生毒性試験(SIDS, access on 7. 2008)では、親動物への体重増加抑制のみられる投与量で仔に仙椎骨および胸骨分節の非骨性がみられるが、明確な発生毒性はみとめられていない。親動物の性機能および生殖能に関する情報が不十分であり分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験(OECD TG 401)における動物の死亡する用量(5.0mL/kg)で運動失調、傾眠などの症状がみられる。また、ラットを用いた吸入ばく露試験(OECD TG 403)において、立直り反射の低下、呼吸困難、自発運動の抑制、運動失調、口、鼻、眼よりの分泌物が7.35mg/Lでみられ、これら症状は3日後には回復する(SIDS, access on July 2008)ことから区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いたエアロゾル吸入試験で呼吸器系への刺激、炎症、化生様変化等が150mg/m3/6h(4週間暴露)で発生した(SIDS, access on 7. 2008)ことから区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 >= 934 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 331 mg/L、藻類(セネデスムス)の72時間EbC50 603 mg/L(いずれもSIDS, 2005)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=760000 mg/L(SIDS, 2005))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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