GHS分類結果

名称:りん酸(2-エチルヘキシル)ジフェニル
CAS番号:1241-94-7

結果:
物質ID: 2-099
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - IUCLID(2000)による引火点は224℃(開放式)であり、区分外に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定(水溶解度1.9 mg/L、HSDB(2003))。
13 酸化性液体 分類できない - - - - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値 >15,480 mg/kg(IUCLID(2000))、>24,000 mg/kg(HSDB(2003))から区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値 >7,940 mg/kg(IUCLID(2000))、>13,700 mg/kg(HSDB(2003))から区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - 本物質の飽和蒸気圧濃度(150℃)は3.94 mg/Lである。ラットを用いた4時間吸入暴露試験で、開始温度125℃での測定濃度は4.8 mg/Lで、LC0値は>4.8 mg/L(IUCLID(2000))より、ミスト基準を適用すると、区分を特定できないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたDraize試験で「slightly irritating」(IUCLID(2000))との記述、「この可塑剤に24時間接触させたウサギの皮膚は刺激性も感作性も示さなかった」(HSDB(2003))との記述から、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いたDraize試験で「slightly irritating」(IUCLID(2000))との記述があるが、データ不足なため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 200人に対するパッチテストで「not sensitizing」(IUCLID(2000))と記述されており、「この可塑剤に24時間接触させたウサギの皮膚は刺激性も感作性も示さなかった」(HSDB(2003))との記述があるが、データとして不十分なので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - IUCLID(2000)に、ラットを用いた細胞遺伝学的試験(EPA/TSCA、GLP)で「最高用量1,5000 mg/kgで細胞遺伝学的変化の証拠はない」との記述がある。IUCLID(2000)の参考事項には「有糸分裂指標の解析により、分裂遅延の証拠は見られなかった」と記述されているので、体細胞を用いたin vivo変異原性試験(染色体異常試験)が陰性と判断し、区分外とした。 なお、in vitro変異原性試験では、CHL/IU培養細胞を用いた染色体異常試験(OECD TG473、GLP)で「陰性」(厚労省報告(Access on November 2008))との記述、ネズミチフス菌および大腸菌を用いた復帰変異試験(OECD TG471、GLP)で「陰性」(厚労省報告(Access on November 2008))との記述がある。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠6-15日のラットに強制経口投与した試験(EPA/TSCA、GLP)において「高用量(3,000 mg/kg)で、母動物に体重減少は見られたが催奇形性は見られなかった」(IUCLID(2000))との記述があるが、生殖機能に関するデータがないので分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - 雌雄ラットを用いた単回経口投与試験において「24,000 mg/kgでやや痩せたが、その後正常体重に戻った」(HSDB(2003))旨の記述がある。影響は区分2のガイダンス値範囲外で見られているが、データ不足なので分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、甲状腺) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、甲状腺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間経口投与試験(Guidelines for 28-Day Repeat Dose Toxicity Testing for Chemicals(Japan)、GLP)において「雌で血球コリンエステラーゼの低値、アルカリフォスファターゼの低値が、雌雄で肝臓の褐色化、小葉中心性の肝細胞肥大、甲状腺ろ胞上皮細胞の肥大が、雄で甲状腺腫大が見られたが、投与の停止で軽減ないし回復した」(厚労省報告(Access on November 2008))旨の記述がある。肝臓、甲状腺への影響は区分2のガイダンス値の範囲内で見られたので、区分2(肝臓、甲状腺)とした。 なお、IUCLID(2000)では、トリフェニルりん酸塩を4 %弱含有する本物質の製品についてのラットを用いた90日間混餌投与試験(Directive 87/302/EEC、GLP)において、甲状腺への影響については記述していない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.15 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性:4週間の標準法でBODによる分解度:1%(既存点検, 1991))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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