名称:フタル酸ジシクロヘキシル
CAS番号:84-61-7
物質ID: | 2-078 |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点395℃(Merck KGaA data from March 2009))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験のLD50値>3,200 mg/kg(NICNAS(2008)、CERI・NITE有害性評価書(2008))及び> 40,000 mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004))から区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>300 mg/kg が、NICNAS(2008)、CERI・NITE有害性評価書(2008)に記述されているが、区分の特定ができないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた1時間吸入暴露試験におけるLC50値は>3.2 mg/L(CERI・NITE有害性評価書(2008))との記述がある。固体なので粉塵基準を適用すると、4時間換算LC50値は>0.8 mg/L より、区分を特定できないので分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性/腐食性試験(OECD TG 404)で「not irritating」、モルモットを用いた試験で「slightly irritating」(CERI・NITE有害性評価書(2008))と記述されており、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた眼刺激性/腐食性試験(OECD TG 405)で「not irritating」とCERI・NITE有害性評価書(2008)に記述されているので、区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、ヒトへの影響に関し、喘息を示唆する報告がHSDB(2002)にみられた。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた試験で感作性はない(CERI・NITE有害性評価書(2008)、IUCLID(2000))との記述があるが、データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vitro 変異原性試験(ネズミチフス菌を用いたAmes試験)が陰性とのデータがNTP DB(Access on October 2008)にあるが、in vivo試験のデータはないので、分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
雌ラットを妊娠0日から哺育21日目まで経口投与した試験で「親動物に体重の低値、肝臓及び副腎の重量高値、小葉中心性肝細胞腫大が見られた用量で、妊娠期間延長、産児数減少及び児動物の影響として、雌雄で体重低値、腎臓・尿管欠損、雄で腎臓、精巣、精嚢、精巣上体、前立腺、肛門-球海綿体筋重量低値、精のう欠損、精巣上体低形成・無形成、小精巣、精巣内生殖細胞消失、ライディッヒ細胞過形成、精巣上体管腔内精子消失、雌で子宮低形成・無形成、卵巣および卵管の無形成、腎臓皮髄境界部鉱質沈着が見られた」(CERI・NITE有害性評価書(2008))との記述がある。以上、親動物に軽微な影響が見られる用量で、次世代に影響が見られたことにより区分1Bとした。 なお、雌雄ラットを用いた2世代繁殖毒性試験で「1,200 ppm以上投与群のF0及びF1雌雄親動物に、体重増加抑制、摂餌量の減少、肝臓のび漫性肝細胞肥大、甲状腺ろ胞上皮細胞の肥大が見られ、児動物の影響として、6,000 ppm群のF1児動物の雄及び1,200 ppm群以上のF2児動物の雄で肛門生殖突起間距離(AGD)の短縮及び乳輪の発現がみられた」、「F1雄親動物の精子数の減少が認められたが、交尾能及び受胎能に変化はなかった」(CERI・NITE有害性評価書(2008)、環境省リスク評価第3巻(2004))旨の記述もある。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
環境省リスク評価第3巻(2004)に「眼、皮膚、気道を刺激する」との記述があるので、区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | 雌雄ラットを用いた混餌による2世代繁殖毒性試験で「雌雄親動物F0の肝臓にび漫性肝細胞肥大、甲状腺ろ胞上皮細胞の肥大が見られた」(CERI・NITE有害性評価書(2008)、環境省リスク評価第3巻(2004))旨の記述があり、一次文献(経済産業省(2003):「二世代繁殖毒性試験報告書」 フタル酸ジシクロヘキシル)を確認したところ、「肝臓の変化は薬物代謝酵素の誘導と関連して惹起された際に起こる生体内の適応反応によるものと推察される。また、甲状腺ろ胞上皮細胞の肥大は、肝細胞肥大に付随する変化と考えられる」との記述がある。また、90日間経口投与試験で、区分2のガイダンス値の範囲外であるが「肝臓、腎臓の組織学的変化が見られた」(CERI・NITE有害性評価書(2008)、環境省リスク評価第3巻(2004))との記述がある。以上、本物質の投与により肝臓に影響が見られているが、生体内の適応反応によるものと推察されるとの考察もあるため、分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50、魚類(メダカ)の96時間LC50値がいずれも > 2.0 mg/L(環境庁生態影響試験, 1999)であり、水溶解度付近まで急性毒性値が報告されていないことから区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 難水溶性物質であり(水溶解度:0.2(20℃)、4(24℃)mg/L(PHYSPROP Database, 2008; 初期リスク評価書, 2008)、水溶解度付近までの濃度で急性毒性が報告されていないものであるが、急速分解性がある(良分解性;4週間標準法でBOD:68.5%(既存点検, 1977))ことから、区分外とした。 |
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