名称:りん酸トリトリル
CAS番号:1330-78-5
物質ID: | 1-460 |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | Sax(8th,1992)による引火点は210℃であり、区分外に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点410℃(HSDB,2003))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に対して安定(水に不溶、Lide(88th,2007))。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験のLD50値は5,190 mg/kg、>4,640 mg/kg、>15,800 mg/kg(EHC 110(1990))と記述されている。最新のLD50値は>4,640 mg/kgだが、確定値5,190 mg/kgを採用し区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値は>7,900 mg/kg(EHC 110(1990))との記述から、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いた皮膚刺激性試験で、「o-、p-体はモルモットの皮膚を中程度に刺激し、m-体は軽度に刺激したが、異性体混合物で刺激性はなかったと報告されている」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述があるので、区分外とした。 なお、RTECS(2008)に、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、暴露時間は不明だが「mild」という記述がある。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | 「高温でのみ蒸気が眼を刺激する可能性がある」(HSDB(2003))との記述があるが、データが不十分なので分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | 体細胞in vivo遺伝毒性試験(ラット肝細胞を用いたUDS試験)で「不定期DNA合成を誘発しなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述があり、in vitro変異原性試験ではCHO培養細胞を用いた染色体異常試験、CHO培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験、ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験でいずれも「陰性」(NTP DB(Access on November 2008))との記述があるが、in vivo変異原性試験の結果がないので分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 主要な国際的評価機関による評価がなされていないので分類できない。 なお、本異性体混合物を79%含有する調剤(m-体21%、p-体4%、o-体1%未満、その他は構造未同定)を雌雄ラットと雌雄マウスに2年間混餌投与した試験では、いずれも「本混合物に関連した腫瘍発生は見られなかった」(NTP TR433(1994))旨の記述がある。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
妊娠6-18日のラットを用いた試験で「高用量では母動物の死亡率が増加したが、奇形頻度に有意な差は見られなかった」(EHC 110(1990))旨の記述がある。また、o-体含有率9 %未満の調剤をラットに経口投与した試験で「精子形態異常の増加に用量依存性が見られ、生存児を出産する雌の数が著しく減少した。一腹あたりの児数と児の生存能力が減少したが、発生への影響は見られなかった」(EHC 110(1990))旨の記述があり、一次文献(Toxicology, 46(1987))を精査した結果、「雌雄親動物はいずれも臨床症状、体重低下を示さなかった」との記述があるので、区分1Bとした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒト症例として「下肢の筋力低下から顕著な麻痺へ移行しやすく回復に時間がかかる。病理組織学的には軸索変性が見られるが、その個人差は大きい」(EHC 110(1990))旨の記述があるので、区分1(神経系)とした。 なお、本物質(異性体混合物)としては動物データがない。最も有害性が強いo-体についてのラットを用いた単回経口投与試験では、区分2のガイダンス値の範囲内で「脊髄の変性が見られた」(EHC 110(1990))との記述がある。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系)、区分2(副腎) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(副腎) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒト影響として「本物質(o-体1%未満)の製造工場で下肢の永久麻痺となった労働者の発生例が報告されており、製造過程では6〜10%のo-体に暴露されていた」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述がある。動物については、o-体をほとんど含有しない調剤によるラットを用いた3ヶ月間経口投与試験で「病理組織学的に影響は見られなかったので、短期的には有害性は低いと著者らは結論した」(EHC 110(1990))旨の記述があるが、o-体を1%含有する本物質をラットに13週間強制経口投与または混餌投与した試験では、いずれも「副腎皮質の細胞質空胞変性が用量依存的にみられる」(NTP TR433(1994))と記述されており、副腎への影響は区分2のガイダンス範囲内で見られた。o-体の含有率で有害性は大きく異なると考えられるが、神経系については6〜10%のo-体に暴露されたヒト症例を優先し区分1(神経系)、区分2(副腎)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質の動粘性率は60 cSt(25℃)と4.0 cSt(100℃)(EHC 110(1990))と記述されている。よって40℃での動粘性率は<60 mm2/sかつ>4.0 mm2/sに相当するが、この間にガイダンス値があり分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ブルーギル)の96時間LC50 = 0.15mg/L(環境省リスク初期評価, 2003)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分1であるが、急速分解性がある(既存化学物質安全性点検データ, 1977)、かつ生物蓄積性が低い(BCF = 165、環境省リスク初期評価, 2003)ことから区分外とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |