名称:1-メチル-1-フェニルエチル=ヒドロペルオキシド
CAS番号:80-15-9
物質ID: | 1-440 |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 化学構造にパーオキサイド基を含むが、酸素収支の計算値は-231であるので区分外とした。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
NFPA(13th,2002)による引火点は79℃であり、区分4に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 有機過酸化物に分類される。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点380℃(IUCLID,2000))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | タイプE | 警告 | H242: 熱すると火災のおそれ |
P411+P235: ...℃以下の温度で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。 P234: 他の容器に移し替えないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P410: 日光から遮断すること。 P420: 他の物質から離して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
国連危険物輸送勧告が5.2(国連番号3107(ICSC, 2005))、タイプEに区分される。 | |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50値382 mg/kg(DFGOT vol.3(1992)、PATTY(5th, 2001)、IUCLID(2000))から区分4とした。EU分類はXn; R21/22である(EU-Annex I)。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
List1以外の情報として、ラットを用いる経皮投与試験のLD50値0.5-1.0 mL/kg(換算値530-1,060 mg/kg)(HSDB(2002))があり、低値530 mg/kgから区分3とした。動物種が不明のデータとして、LD50値>200 mg/kg(PATTY(5th, 2001))がある。EU分類はXn; R21/22である(EU-Annex I)。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
本物質の25℃での飽和蒸気圧濃度は4 ppmである。ラットを用いた4時間吸入暴露試験のLC50値は220 ppm(PATTY(5th, 2001)、IUCLID(2000))であり、ミスト基準を適用して、換算値1.4 mg/Lから区分4とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギを用いた皮膚刺激性試験で「severeな刺激性と損傷」(DFGOT vol.3(1992))との記述があり、その一次文献(Am. Ind. Hyg. Assoc. J. 19(1958))では、すぐに影響は見られないが、重度の紅斑、浮腫、水疱形成が2、3日以内に生じたと記述されている。またこのデータに対するIUCLID(2000)の判定はcorrosiveなので、区分1とした。EU分類はC; R34である(EU-Annex I)。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験で「severeな刺激性と損傷」(DFGOT vol.3(1992))との記述があり、その一次文献(Am. Ind. Hyg. Assoc. J. 19(1958))には、「ウサギの眼に高濃度溶液を滴下すると、大ー的に角膜、虹彩、結膜に影響を及ぼす」旨、記述されている。一方このデータに対するIUCLID(2000)の判定は「highly irritating」であり、評価が分かれるので、皮膚区分1を根拠として区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | List1の情報源にはデータがなく、ヒト毒性として、「皮膚感作性があると知られている」(HSDB(2002))との記述のみなので、分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いる小核試験)で「陰性」(NTP DB(Access on September 2008))との記述、さらにList2の情報源に、マウスを用いる生殖細胞in vivo経世代変異原性試験(優性致死試験)で「陰性」(HSDB(2002))と記述されていることから、区分外とした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 主要な国際的評価機関による評価がなされていないので分類できない。なお、DFGOT vol.3(1992)には、「現時点ではヒドロペルオキシドの腫瘍イニシエーション作用を全く無視することはできないが、イニシエーション作用を示さない可能性が高い」旨の記述がある。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(呼吸器系) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた蒸気吸入暴露試験で、「致死量を求める試験における剖検により、気管と肺に重篤な炎症がみられた」(PATTY(5th, 2001))との記述があり、LD50値は382 mg/kgである。List.3のICSC(2005)の短期暴露の影響の項には、「気道に対して腐食性を示す。・・・吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある」との記述がある。文献検索によりヒトでの肺水腫症例は確認できなかったが、動物のLD50値近辺での肺影響は区分2のガイダンス値範囲内に相当するので区分2(呼吸器系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた反復経口投与試験(7週間、3回/週)で、「蓄積性の影響を生じた」(PATTY(5th, 2001))等の記述がある。影響は区分2のガイダンス値の範囲内で見られたが、一次文献(Am. Ind. Hyg. Assoc. J. 19(1958))を精査した結果、「体重の減少、体重増加抑制」の他に明確な影響が得られなかった。よってデータ不足のため分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 3.9 mg/L(IUCLID, 2000)から区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解性;4週間標準法でBODによる分解度:0%(既存点検, 2004))ことから、区分2とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |