GHS分類結果

名称:1-メチルナフタレン
CAS番号:90-12-0

結果:
物質ID: 1-438-1)
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(1997)による引火点が82℃なので区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても発火しない。発火点529℃((ICSC(1997))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素および酸素を含まない有機化合物。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値 1,840 mg/kg(環境省リスク評価第6巻(2008)、HSDB(2004))から、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体のため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - HSDB(2004)のヒト症状の項に「皮膚刺激性がある」との記述があるが、刺激の程度が不明なので分類できない。 なお、環境リスク評価書第6巻(2008)に「皮膚に付くと発赤を生じる」との記載があるが、この引用文献はICSC(1997)であり、短期暴露影響の項には皮膚刺激性に関する記載はないので採用しない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
「眼を刺激」(環境リスク評価第6巻(2008))との記述があり、引用文献のICSC(1997)の短期暴露影響の項にも「眼を刺激する」との記述がある。HSDB(2004)のヒト症状の項にも「眼刺激性がある」と記述されているが、いずれも程度および回復性が不明なので細区分せず区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質としてのデータはない。メチルナフタレン類のヒト影響として「皮膚光感作性」(HSDB(2004))の記述があるが、データ不足なので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro試験で「ヒト末梢リンパ球で染色体異常と姉妹染色分体交換は誘起されなかった」(ATSDR(2005))との記述、ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験は「陰性」(NTP DB(Access on January 2009))との記述がある。しかし、in vivo試験のデータがないため、分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - ACGIH-TLV/BEI(2005)では「ACGIH TLV-NIC の評価はA4」と記述しているが、ACGIH全体の評価ではないので分類できない。 なお、雌雄マウスに81週間混餌投与した試験では「雄に統計的に有意な気管支/肺腺腫の増加が見られたが、雌には見られなかった」(ATSDR(2005))旨の記述がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 雌雄マウスに81週間経口投与した試験で「雌雄の生殖器官に損傷を示さなかった」(ATSDR(2005))との記述があるが、生殖機能への影響、児動物への影響のデータがないので分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた4時間吸入暴露試験において、「熱刺激に対する前脚なめ反応時間が増加したので、痛覚の低下とした」(ATSDR(2005))との記述がある。また、HSDB(2004)のヒト症状の項に「粘膜および上気道への刺激性、視覚障害、昏睡の可能性がある」との記述があるので、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肺) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた13週間混餌投与試験では「成長抑制以外に影響は見られなかった」、またマウスを用いた81週間混餌投与試験では「肺胞蛋白症がみられた」(ATSDR(2005))旨の記述がある。肺胞蛋白症は区分2のガイダンス値範囲内で見られたので、区分2(肺)とした。ICSC(1997)に「反復または長期の暴露により、肺が冒されることがある」との記述がある。 なお、1-メチルナフタレンと2-メチルナフタレンの混合物を2回/週の割合で30週間マウスの皮膚に塗布した試験において「肺胞蛋白症がみられた」(ATSDR(2005))旨の記述がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ブラインシュリンプ)の24時間IC50 = 1.61 mg/L(環境省初期リスク評価第2巻, 2003)から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解性;4週間標準法でBODによる分解度:2%(既存点検, 2004))ことから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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