GHS分類結果

名称:N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド
CAS番号:17796-82-6

結果:
物質ID: 1-155
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値2,600 mg/kg(IUCLID(2000)、HSDB(2005))、4,600 mg/kg、8,200 mg/kg(IUCLID(2000))等の記述があり、最小値の2,600 mg/kgは国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>5,010 mg/kg(IUCLID(2000)、HSDB(2005))、>2,510 mg/kg、>7,940 mg/kg(IUCLID(2000))の記述があることから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたDraize試験で「not irritating、PII: 1.7/8」(IUCLID(2000))と「not irritating、PII: 1.2/8」(IUCLID(2000))の記述があることから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いたDraize試験で「irritating、Draizeスコア48/110」(IUCLID(2000))、「irritating、Draizeスコア35/110」(IUCLID(2000))、「Mildly irritating、Draizeスコア22.3-24.6/110」(HSDB(2005))の記述があり、「not irritating」(IUCLID(2000))の記述もあるが、区分2に相当するデータが多いことから、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトのパッチテストで「sensitizing」(IUCLID(2000))の記述があり、「ヒトへのアレルギー反応がみられた」(HSDB(2005))との記述もあることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(ラットを用いた染色体異常試験)で「陰性」(HSDB(2005))、in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌を用いたAmes試験、マウスリンフォーマ試験)で「陰性」(IUCLID(2000)、HSDB(2005))の記述があることから、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データ不足のため分類できない。 なお、HSDB(2005)に、ラットを用いた24ヶ月間混餌試験(PRL Protocol、GLP)についての記述があり、その引用文献(USCh(2003))を確認したところ、「ヒト健康に発がん作用を及ぼさない」旨の記述があった。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた2世代生殖毒性試験(Bio/dynamics Laboratory method、GLP)で生殖毒性がみられず(IUCLID(2000)、HSDB(2005))、ウサギを用いた催奇形性試験(Bio/dynamics Laboratory method、GLP)で、母動物に体重減少がみられた用量で催奇性がみられなかった(IUCLID(2000))ことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分外 - - - - ラットを用いた単回経口投与試験において、投与量3,160 mg/kgまでの試験で「臨床観察で活動低下、食欲低下がみられたが、剖検の結果すべての臓器で正常であった」(HSDB(2005))旨の記述から、区分外とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肺) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間経口投与試験(PRL Protocol、GLP)(IUCLID(2000)、HSDB(2005))で引用文献(USCh(2003))を確認したところ、区分2のガイダンス値の範囲内で「体重減少はみられたが、血液所見、臓器重量、剖検結果に影響ない」旨の記述がある。一方、ラットを用いた90日間吸入暴露試験(Bio/dynamics Protocol、GLP)で区分2のガイダンス値の範囲内で「肺のラッセル音、散在性肉芽腫」(HSDB(2005))がみられたことから、区分2(肺)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間EC50 = 0.41mg/L(IUCLID, 2004)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BIOWIN7)ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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