名称:アントラセン
CAS番号:120-12-7
物質ID: | 1-032 |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点540℃(Lide,88th,2007))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験のLD50値8,120 mg/kg(EU-RAR(2007))から区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | 経皮投与試験において、試験投与量で死亡はみられなかったため、ラットのLD50値>1,320 mg/kg、ウサギのLD50値>4,000 mg/kg(EU-RAR(2007))と記述されている。より高濃度まで試験した最新のウサギのLD50値>4,000 mg/kgに基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | 環境省リスク評価第4巻(2005)にはヒトへの影響として「短期間の暴露によって、わずかに皮膚を刺激し、皮膚の発赤が現れる」と記述されている。動物については、「ヒュームが皮膚にmild irritationを生じ得る」(EHC 202(1998))との記述があり、引用文献(National Institute of Public Health and Environmental Protection(1989))を調査したが、「ヒューム」との記述は見当たらず、実験条件を確認できなかったため、このデータは採用しない。また、ウサギを用いた24時間塗布試験(US Code of Federal Regulations)で「Draize scoreが0.79であるため、slightly irritatingである」(EU-RAR(2007))旨の記述があるが、10%溶液での結果である。以上から、データ不足のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトへの影響について「眼瞼浮腫、結膜の充血」(EU-RAR(2007))が記述されている。動物については、ウサギを用いた結膜嚢への投与試験(US Code of Federal Regulations)で「角膜・虹彩への影響なし、4/6匹にslightからmoderateな結膜の発赤が見られ、Draize scoreは1.0であるため、『非刺激性』である」(EU-RAR(2007))旨、記述されている。また、ウサギを用いた結膜嚢への滴下試験で「角膜損傷なし」(EU-RAR(2007))との記述もある。List1の情報源であるEU-RAR(2007)に記述されているヒトのデータを用い、国連GHS改訂2版の図3.3.1に従って区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットを用いて接触感作性を調べた試験(アジュバント使用)で「陰性」(EU-RAR(2007))との記述がある。一方、ヘアレスマウスやモルモットを本物質で処理後、紫外線を照射した試験で「紫外線刺激に対する皮膚感作性が増加した」(EHC202(1998))と記述されている。ヒトについても、本物質の皮膚塗布後の紫外線照射により「発赤、蕁麻疹あるいは膨疹が見られた」(環境省リスク評価第4巻(2005))との報告が2件あり、内1件では、「紫外線照射のみの対照群では発赤はみられなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005))と記述されている。以上から、本物質はヒトの皮膚に光感作性を示すと推測されるので、区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験(マウスの骨髄、赤血球各ーを用いた小核試験)で「陰性」(EHC 202(1998), EU-RAR(2007))との記述に基づき、区分外とした。体細胞in vivo遺伝毒性試験(チャイニーズハムスターの骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験)も「陰性」(EU-RAR(2007))であり、EHC 202(1998)には、本物質の遺伝毒性について「いくつかの例外を除き、全体として陰性」と記述されている。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARCでグループ3(IARC 32(1983))、EPAの発がん性分類D(IRIS(1991))と評価されており、これらは区分外相当である。しかし、これらの国際評価機関による評価後にラット、マウスを用いた2年間経口投与試験が実施されており、雄ラット及び雌マウスの肝臓、雄ラットの膀胱、雌ラットの腎臓、膀胱、子宮、乳腺に腫瘍の発生増加が見られ、雌雄ラットと雌マウスに「明らかながん原性が示された」(厚労省がん原性試験(1998))と記述されているので、この動物試験データに基づき、区分2とした。ヒトについては、純粋な本物質に接触した労働者では「上皮腫を生じなかった」(EU-RAR(2007))との記述がある。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | マウスを用いた90日間経口投与試験で「卵巣の平均重量及び体重比が統計学的に有意に増加した」が「組織変化はなく」、「偶発的であり、毒性とは関連しないと考えられる」(EU-RAR(2007))と記述されている。他に、生殖発生毒性に関する適切なデータがないため、データ不足で分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについて、暴露による急性症状として「上気道の刺激」、「頭痛、吐き気、反応遅延、衰弱」(EU-RAR(2007))との記述や、「わずかに気道を刺激し、咳、咽頭痛が現れる」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述があるが、「頭痛、吐き気、反応遅延」については重大な影響とはいえないので、分類根拠に採用しなかった。動物については、「本物質による噴霧暴露は気道を刺激する」(EHC 202(1998))と記述されている。以上から、区分3(気道刺激性)とした。この他、ラット、マウス、ウサギなどを用いた経口あるいは経皮投与試験で肝臓、脾臓、腎臓などに充血等の影響が見られている(EU-RAR(2007))が、区分2のガイダンス値を遥かに超える濃度での症状であるため、採用しなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | マウスを用いた強制経口投与試験(GLP)において、区分2のガイダンス値を遥かに超える濃度で「臨床症状、血液所見、臓器重量、肉眼的および組織病理学的所見などに、暴露による有意な影響は見られなかった」(EU-RAR(2007))と記述されている。また、ラットを用いた混餌投与試験において、区分2のガイダンス値の範囲内の濃度で78週間投与しても「臨床所見、組織への影響は見られなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述もある。一方、ラットを用いたエアロゾル吸入暴露試験において「ヘモグロビン低下、網状赤血球症、白血球減少症などを生じた」(EU-RAR(2007))との記述があるが、暴露期間が不明であり(元文献入手不可)、区分を特定できない。以上から、データ不足のため分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 なお、本物質は炭化水素であるが、動粘性率は不明である。またICSCに化学性肺炎に関する記述はない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ブルーギル)の96時間LEC50 = 0.00278 mg/L(環境省初期リスク評価第5巻, 2006)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性:2週間の標準法でBODによる分解度:1.9%(既存点検, 1977))ことから、区分1とした。 |
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