GHS分類結果

名称:亜硝酸イソブチル
CAS番号:542-56-3

結果:
物質ID: 38
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
技術上の指針(H17.12.6版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 爆発性に関する原子団(亜硝酸エステル)を含むが、試験データがなく、分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。(colorless liq(Merck, 14th))
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。(colorless liq(Merck, 14th))
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSCによる引火点は-21℃であり、CRCによる沸点が67℃であることから「区分2」に該当する。(EUのリスク警句は、R11であり、Highly flammableとしている。)
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。(colorless liq(Merck, 14th))
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 爆発性に関する原子団(亜硝酸エステル)を含むが、試験データがなく、分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。(colorless liq(Merck, 14th))
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類できない - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素、水素以外の元素である窒素と化学結合しているが、規定試験法によるデータがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50が410mg/kg(RTECS, Access on Sep. 2007)であることから、区分4に分類した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 液体であり、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50(4時間)=777 ppm(= 3.28 mg/L)(RTECS, Access on Sep. 2007)で、当該物質の飽和蒸気圧濃度が(1000000×1.3kPa/101=)12871 ppmであることから、蒸気として試験されたと評価し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 適切なin vivo試験のデータが得られておらず、分類できない。なお、「マウスに対する吸入暴露により、末梢血赤血球に小核が誘発された」(ACGIH, 2003; NTP DB, Access on Sep. 2007)との報告があるが、標準的な試験ではなく、分類には使用しなかった。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2007)がA3に分類していることから、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足により分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液系)、区分2(呼吸器) 警告
危険
H370: 臓器の障害(血液系)
H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器)
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
「本物質の使用者のうち救急で運ばれた人の症状は、動脈性低酸素症、チアノーゼ、呼吸困難、昏睡などであった。吐き気や鼻への刺激がみられたケースもあった。」(ACGIH, 2003)、「ヒトが飲み込むと致命的なメトヘモグロビン血症を引き起こす可能性があり、実際にそのような症例が報告されている」(HSDB, 2003)、「本物質を吸入した23歳男性が重篤で長期の気管気管支炎になった」(HSDB, 2003)等の報告から、血液系、呼吸器への影響がみられており、区分1(血液系)、区分2(呼吸器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、呼吸器) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物で、「マウスならびにラットに本物質を13週間(6時間/日、5日/週)吸入暴露した試験で、軽度の貧血及びメトヘモグロビン血症、鼻粘膜の肥厚化、気管支粘膜の肥厚化がみられた」(U.S. NTP TR 448, 1996)との報告が得られていることから、血液系、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対するこれらの症状は区分2に相当する用量でみられた。以上より、区分2(血液系、呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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