GHS分類結果

名称:二硝酸イソソルビド混合物(ラクトース、マンノース、スターチ若しくはリン酸水素カルシウムの含有率が60質量%以上のもの)
CAS番号:87-33-2

結果:
物質ID: 07-D37
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
技術上の指針(H17.12.6版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 純物質は乾燥時に爆発性を有する(Bretherick)という情報があるが、「強心剤」が主用途であり、火薬としての評価は不明であり、分類できないとした。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 純物質についてはデータがないので、分類できないとした。 (ラクトース、マンノース、スターチ若しくはリン酸水素カルシウムの含有率が60質量%以上のものは、UN 2907、クラス 4.1 容器等級IIに分類されているので、区分1)
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - HSDB(2005)に「impact and friction sensitive, and sensitivity to initiation to detonation by std no.6 and no.8 strength detonators」という記述がある。自己反応性の危険物であるが、GHSの定義でどのクラスに入るか特定できないので分類できないとした。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質に関するデータはないが、二硝酸イソソルビドのラットでのLD50:747mg/kg(RTECS, Access on Aug 2007)である。一方、ラクトースのラットでのLD50:>10000mg/kgであるなど、配合成分はいずれも「急性毒性ではないと考えられる成分」に該当すると判断されるため、GHSの分類基準(GHS-2003, 3.1.3.6混合物の成分に基づく混合物の分類(加算式))に従って配合成分を無視し、二硝酸イソソルビドのLD50に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - 本物質に関するデータはないが、二硝酸イソソルビドについて得られたラットでのLD50:>3000mg/kg(RTECS, Access on Aug 2007)である。一方、ラクトースなど配合成分はいずれも「急性毒性ではないと考えられる成分」に該当すると判断されるため、GHSの分類基準(GHS-2003, 3.1.3.6混合物の成分に基づく混合物の分類(加算式))に従って配合成分を無視し、二硝酸イソソルビドのLD50に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - 本物質に関するデータはないが、二硝酸イソソルビドについて得られたウサギでの皮膚刺激性試験で24時間暴露により軽度の刺激性がある(RTECS, Access on Aug 2007)との記述から、二硝酸イソソルビド含有率40%未満の本物質の4時間以内の暴露による刺激性の強さは、「軽度」より著しく弱いと判断されることから区分外とした。 なお、二硝酸イソソルビド貼付剤を皮膚適用した臨床試験では、5%以上の頻度で皮膚の刺激感および一次刺激性接触皮膚炎が報告されているが、二硝酸イソソルビドによる影響であるか否かは明確でない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはない。なお、二硝酸イソソルビド貼付剤を皮膚適用した臨床試験では、5%以上の頻度でアレルギー性接触皮膚炎が報告されているが、二硝酸イソソルビドによる影響であるか否かは明確でないことから、データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 本物質に関するデータはない。なお、二硝酸イソソルビドについて、HSDB(2005)に、Ames試験およびマウスリンパ腫由来培養細胞を用いた突然変異試験、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、in vivoでのマウスを用いた小核試験のいずれも陰性であることから、二硝酸イソソルビドは区分外に分類される。さらに専門家の判断により他の成分についても変異原性はないので総合的に区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質に関するデータはないが、二硝酸イソソルビドについてHSDB(2005)に、ラットでの2世代繁殖試験では、25および100mg/kg/dayにおいて化合物投与の影響は認められなかったが、ヒトでの臨床一日最大用量の35倍および150倍の用量をウサギに経口投与した試験(HSDBには明記されていないが、おそらく器官形成期投与試験)では、用量に相関した胎児毒性が認められたとの記述があり、本物質にも同様の胎児毒性を有する可能性が示唆されることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(循環器、中枢神経系、消化管、肝臓、血液) 危険 H370: 臓器の障害(循環器、中枢神経系、消化管、肝臓、血液) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質に関するデータはない。二硝酸イソソルビドには血管拡張作用(特に静脈に選択的)があり、急性心不全または不安定狭心症における冠動脈拡張剤として臨床適用される。二硝酸イソソルビド製剤(舌下錠、経口剤(徐放錠、徐放カプセル)、口腔内噴霧、点滴静注)の臨床試験における副作用として、5%以上の頻度で頭痛(舌下錠)、0.1〜5%未満の頻度で頭重、脱力感などの精神神経系症状、血圧低下、めまい・ふらつき、潮紅、熱感、浮腫、動悸、心拍出量低下、失神などの循環器症状、悪心・嘔吐、胃部不快感、食欲不振、上腹部痛などの消化器症状、血中GOT・GPTの上昇など肝臓への影響、動脈血酸素分圧の低下など血液への影響が認められたほか、頻度不明な所見として、不快感、発疹、メトヘモグロビン血症が報告されている(「日本医薬品集、医療薬、2007年版」、1078-1083、じほう(2007)、「第14改正日本薬局方解説書、第一部医薬品各条」、C-1643-1647、廣川書店(2001))。 また、HSDB(2005)に、二硝酸イソソルビドは、ヒトでは過量摂取により心臓および血管に作用し、血圧低下、頻脈、頭痛、ねむけ、発熱、吐き気、その他の症状が発現するとの記述があることから、二硝酸イソソルビドはヒトで循環器、中枢神経系、消化管、肝臓、血液に影響を及ぼすと判断され、本物質によっても同様の影響があると考えられることから、区分1(循環器、中枢神経系、消化管、肝臓、血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはない。二硝酸イソソルビドの反復投与による毒性に関するデータはないが、臨床適用時の薬効および頭痛、血圧低下などの副作用に対して、反復投与により耐薬性を示し、効果・副作用とも減弱するとの記述(「日本医薬品集、医療薬、2007年版」、1078-1083、じほう(2007)、HSDB, 2005)から、単回投与の場合と同様の副作用が発現すると考えられる。本物質によっても同様の影響があると考えられるが、データ不足により分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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