GHS分類結果

名称:硫化カリウム
CAS番号:1312-73-8

結果:
物質ID: 07-D30
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
技術上の指針(H17.12.6版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 結晶水の含有率が30質量%未満のものはUN1382 クラス 4.2 IIに分類されており、容器等級Iでないので区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分1 危険 H251: 自己発熱:火災のおそれ P235+P410: 涼しいところに置き、日光を避けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P407: 積荷/パレット間に隙間をあけること。
P413: ...kg以上の大量品は、...℃以下の温度で保管すること。
P420: 他の物質から離して保管すること。
結晶水の含有率が30質量%未満のものはUN1382 クラス 4.2 IIに分類されているので区分1とした。 (結晶水の含有率が30質量%以上のものはUN1847 クラス 8 IIに分類されているので、区分外)
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 結晶水の含有率が30質量%未満のものはUN1382 クラス 4.2 IIに分類されており、クラス4.3でないので区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、ハロゲンを含まない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分1 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験のデータは得られなかったが、HSDB(2007)の記述「まず確実な(probable)ヒトでの経口致死量は5 mg/kg以下」から区分1とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(J)(1997)の記述「痛み、水疱、皮膚熱傷並びに眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す」、HSFS(2001)の記述「接触により皮膚及び眼を強く刺激して薬傷し、目の損傷を伴う」及びSITTIG(2002)の記述「Potassium sulfideは腐食性の化学物質であり皮膚及び眼との接触は薬傷を起こす」、更にEUでC;R34と分類されていることから区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ICSC(J)(1997)の記述「痛み、発赤、重度の熱傷並びに眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す」、HSFS(2001)の記述「接触により皮膚及び眼を強く刺激して薬傷し、目の損傷を伴う」及びSITTIG(2002)の記述「Potassium sulfideは腐食性の化学物質であり皮膚及び眼との接触は薬傷を起こす」、更ににEUでCと分類されていることから区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(J)(1997)の記述「吸入により咽頭痛、咳、灼熱感、息切れ、頭痛、めまい、吐き気、肺水腫」、HSFS(2001)の記述「pottasium sulfideの吸入は、肺を刺激し咳及び呼吸の短縮を発現。高レベル暴露は肺水腫を発現」及びSITTIG(2002)の記述「ミストあるいはダストの吸入は眼、鼻、咽頭を刺激し、くしゃみ、咳、咽頭の痛みを伴う。高レベル暴露は肺水腫を発現」より、区分2(呼吸器系)とした。 参考:本物質は水と反応して硫化水素を発生するが、硫化水素は国のGHS分類(ID998)において、ヒトでの単回吸入暴露により、吐き気、頭痛、譫妄、平衡感覚障害、記憶力低下、神経行動変化、嗅覚麻痺、意識消失、振戦、痙攣などの症状および不整脈、血圧上昇が認められるとの記述(CICAD, 2003)、意識消失および呼吸麻痺により死亡するとの記述(IRIS, 2006)があり、ラットでの単回吸入暴露により、区分1のガイダンス値範囲の用量で条件回避反応の低下、気道粘膜の組織傷害が認められたとの記述、マウスでの単回吸入暴露により鼻粘膜に軽度の刺激性が認められたとの記述(CICAD, 2003)から、区分1(中枢神経系、心臓血管系、呼吸器系)に分類されている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - HSFS(2001)の記述「非常な高暴露は不整脈を発現」及びSITTIG(2002)の記述「腐食性物質は気管支炎の発現など肺の障害を引起こす。暴露が長引くと鼻の内側に糜爛あるいは潰瘍を引起こす」があるが、他に情報がなく、データ不足で分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - EUでN; R50に分類されているが、データがないので分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - EUでN; R50に分類されているが、データがないので分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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