GHS分類結果

名称:2-butanone oxime
CAS番号:96-29-7

結果:
物質ID: 3
分類実施者: 経済産業省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 - - - - - -
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) - - - - - -
3 エアゾール - - - - - -
4 支燃性/酸化性ガス - - - - - -
5 高圧ガス - - - - - -
6 引火性液体 - - - - - -
7 可燃性固体 - - - - - -
8 自己反応性化学品 - - - - - -
9 自然発火性液体 - - - - - -
10 自然発火性固体 - - - - - -
11 自己発熱性化学品 - - - - - -
12 水反応可燃性化学品 - - - - - -
13 酸化性液体 - - - - - -
14 酸化性固体 - - - - - -
15 有機過酸化物 - - - - - -
16 金属腐食性物質 - - - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値は2,528 mg/kg、2,326 mg/kg、3,700 mg/kg(以上はIUCLID(2000))、930 mg/kg(IUCLID(2000)、RTECS(2006))に基づき、計算式を適用して得られたLD50値=1,440 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値が1,000-2,000 mg/kg(IUCLID(2000))から、下限値のLD50値である1,000 mg/kgを採用して区分3とした。EU-Annex IはR21であり、GHS区分3〜4に相当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義の液体であるため、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 「20℃の飽和蒸気(0.076 mg/L)に8時間暴露(4時間換算値0.152 mg/L)しても、12匹のラットは死亡なし」(IUCLID(2000))と記載されているので、LC50値は>0.152 mg/Lとなる。区分1の蒸気基準値は0.5 mg/Lであるので、分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - 飽和蒸気圧濃度(20℃)は0.076 mg/Lである。ラットを用いた吸入投与試験のLC50値は20 mg/L/4hr(IUCLID(2000))である。ミスト基準で区分4の基準値は0.05 mg/Lなので、区分外とする。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - IUCLID(2000)記載のウサギに対する試験には、EC分類が「irritating」のものと、「not irritating」のものが混在している。「ドレイズテストでわずかな(slightly)刺激性有」と記載した試験は、EC分類は「irritating」である。この試験の一次情報源のStudy from 1978, TSCATS fiche OTS0524679を確認したところ、暴露時間等の詳細は記載されていなかった。また、24時間暴露の試験がIUCLIDリストに数件あり、EC分類はいずれも「irritating」であるが、試験の詳細は不明であるので、分類できない。 なお、EU Annex IではR34、R38に該当していない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギに対し「高度の(highly)刺激(1989年)」(IUCLID(2000))、「重度の(severe)刺激(1987年)」(RTECS(2006))とあることから区分1とした。EU-Annex IはR41であり、GHS区分1に相当する。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH-TLVのGermany-MAKにShと記載されており、「モルモットによる、GLP準拠のmaximization testで感作性あり」(IUCLID(2000))に基づき「区分1」とした。なお、EU-Annex1:R43はGHS区分1に相当する。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験について、マウス末梢血を用いる小核試験で陰性(NTP DB(Access on Dec. 2007))、ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験、マウス末梢血および骨髄細胞を用いる小核試験で陰性(IUCLID(2000))であることから区分外とした。なお、in vitro試験では、細菌を用いた復帰突然変異試験において特定の条件下で非常に弱い遺伝毒性が観察されるが、CHO培養細胞を用いる姉妹染色分体交換試験及び染色体異常試験では陰性(NTP DB(Access on Dec. 2007))、細菌を用いる復帰突然変異試験及びCHO培養細胞を用いる染色体異常試験で陰性(厚労省報告(Access on Dec. 2007))であった。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EU-Annex IでCat. 3; R40に分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - GLP準拠のラットを用いる経口投与の二世代生殖毒性試験では、母体毒性が10 mg/kg未満で見られたのに対し、F1とF2世代では200 mg/kgでも影響が生じなかった。一方、GLP準拠の発生毒性試験において、18匹の親動物中8匹が死亡する投与量(40 mg/kg)で、3匹に流産が認められている(IUCLID(2000))。40 mg/kgという投与量は低用量であり、親動物が死亡する用量とはいえ胎児毒性(流産)を二次的な影響と判断し、生殖毒性を無視するのは適切ではない。よって、分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた吸入投与試験において、50 mg/L/4hrで「眠気の症状」(RTECS(2006))とある。しかし、ラットによる吸入投与試験のLC50値20 mg/L(IUCLID(2000))というデータを考慮すると、50 mg/L/4hrは致死濃度に相当する。よって、特定標的臓器毒性(単回暴露)の項で分類するのは不適切であり、分類できない。ただし、IUCLIDの一次文献(Federal register USA(1986)51, 220, 41430-41432. methylethyl ketonoxime)を精査し、LC50値20 mg/Lが不適切と判断された場合は、RTECSの「眠気の症状」を採用して区分3(麻酔作用)となる可能性がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(造血系、肝臓、腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(造血系、肝臓、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、「雌雄の 20 mg/kg以上の群に網状赤血球率の上昇および脾臓に対する影響(うっ血、髄外造血の亢進およびヘモジデリン顆粒の増加)等が認められ、雌の20 mg/kg以上の群に血小板数の増加、赤血球数、ヘマトクリット値および血色素量の減少等が認められた」(厚労省報告(Access on Dec. 2007))ことから、区分1(造血系)とした。 さらに、ラットを用いる経口投与簡易生殖毒性試験において、「雌雄の10 mg/kg以上の投与群で脾臓のうっ血、色素沈着、髄外造血、肝臓の糖質沈着、クッパー細胞の色素沈着、髄外造血、腎臓の褐色色素沈着の発生数あるいは程度の増強」(厚労省報告(Access on Dec. 2007))が見られることから、区分1(肝臓、腎臓)を追加し、区分1(造血系、肝臓、腎臓)とする。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) - - - - - -
11 水生環境有害性(長期間) - - - - - -


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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