GHS分類結果

名称:1-bromopropane
CAS番号:106-94-5

結果:
物質ID: 2
分類実施者: 経済産業省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 - - - - - -
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) - - - - - -
3 エアゾール - - - - - -
4 支燃性/酸化性ガス - - - - - -
5 高圧ガス - - - - - -
6 引火性液体 - - - - - -
7 可燃性固体 - - - - - -
8 自己反応性化学品 - - - - - -
9 自然発火性液体 - - - - - -
10 自然発火性固体 - - - - - -
11 自己発熱性化学品 - - - - - -
12 水反応可燃性化学品 - - - - - -
13 酸化性液体 - - - - - -
14 酸化性固体 - - - - - -
15 有機過酸化物 - - - - - -
16 金属腐食性物質 - - - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。ラットのLD50値>2,000 mg/kg(死亡例の有無は不明)(ACGIH(2005))、ラットのLDLo値>4,000 mg/kg(GESTIS(Access on Feb. 2008))が記載されている。従って、区分4までには該当しないが、区分5の適否が判断できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。ラットで2,000 mg/kgまで投与しても死亡例がない(ACGIH(2005))。従って、区分4までには該当しないが、区分5の適否が判断できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、分類対象外とする。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
20℃での飽和蒸気圧濃度は132,000 ppmであり、ラット4時間暴露でのLC50値7,000 ppm(ACGIH(2005))に基づき区分4とする。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ラットに24時間、半閉塞塗布しても影響がなかった(ACGIH(2005))ことに基づき、区分外とする。ただし、EU Annex IはXi; R36/37/38でありGHS区分2に相当する。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
眼に刺激性との記載がある(ICSC(2004))。程度は不明だが刺激性を有すると考えられるため、区分2とする。なお、EU Annex IはXi; R36/37/38でありGHS区分2に相当する。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットに25%パラフィン油溶液を10日間塗布し、12日後に再度塗布した結果、感作性の兆候が見られず、皮膚感作性の根拠がないと結論している(ACGIH(2005))ことに基づき、区分外とする。なお、ACGIH(2005)の一次文献はElf Atochem(1995b), Study Number 12094 TSG;1995c. Document ID Title OAR-2002-0064:Documents available in public dockets A-2001-07,OAR-2002-0064, and A-91-42. U.S. Environmental Protection Agency, Washington, DC(1995)だが、入手不可能で確認できなかった。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスを用いる吸入経路のin vivo末梢血小核試験で陰性、細菌を用いるAmes試験で陰性(NTP(2003))であることに基づき、区分外とする。
6 発がん性 分類できない - - - - 国際評価機関による評価がなく、Priority1、2の情報源の範囲で発がん性のデータは記載されていないので、分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入投与による二世代生殖毒性試験において250 ppm以上の投与群で雌ラットに生殖機能の低下がみられた(ACGIH(2005))。出産後4日間は雌に投与せず、5日目から21日目迄は仔を除く雌に投与したところ、F0とF1で、発情周期の長期化に用量依存性が見られ、受精率と胚の数が減少傾向を示したとある。この試験では母体毒性に関する記載はないので区分2とする。なお、EU Annex IはCat. 2; R60とCat. 3; R63でありそれぞれGHS区分1Bと区分2に相当する。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物については「1時間吸入暴露したラットに立毛、活動低下、運動失調、流涙が発現したが、他に大きな病理学的な影響はない」(ACGIH(2005))とあり、また、吸入暴露による急性症状として「咳、咽頭痛、嗜眠」、短期暴露の項に「気道を刺激する。中枢神経系に影響を与え、意識を喪失することがある」(ICSC(2004))の記載があることから、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とする。なお、EU Annex IはR36/37/38とR67であり、気道刺激性と麻酔作用に相当する。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては「1-ブロモプロパン95.5%含有の脱脂溶剤に作業暴露する19歳男性で、2ヵ月後に下肢と右手の痺れ、嚥下と排尿困難等を発症し、中枢神経系の障害によると結論」(ACGIH(2005))とある。この事例については、NTP(2003)が「個人のケースレポートに過ぎないのでヒトの暴露事例としては証拠の重みが小さい」との評価をしている。しかし、1事例でもACGIH(2005)に記載されている点は無視できないと判断し、区分1(中枢神経系)とする。なお、動物については「ラットを用いる28日間吸入試験で中枢神経系、泌尿器系、血液系、リンパ系組織に異常、またラットを用いる5日間/週、13週間吸入試験で肝臓の小葉中心部空胞化」(ACGIH(2005))等の記述があるが、実験動物に対する影響は換算後の区分2のガイダンス値を越える範囲である。EU Annex IはXn; R48/20であり、吸入により特定標的臓器毒性(反復暴露)の懸念がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) - - - - - -
11 水生環境有害性(長期間) - - - - - -


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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