GHS分類結果

名称:N'-(2-メチル-4-クロルフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン
CAS番号:6164-98-3

結果:
物質ID: 1356
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 用途が農薬であり、常温の空気と接触しても自然発火しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおける経口LD50データ(250, 340, 123, 301, 178, 265, 460 mg/kg, EHC199(1998)、150, 220, 170 mg/kg, JMPR206(1972))に基づき、計算式を用い算出した値(LD50 = 192 mg/kg)から、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにおける経皮LD50 = 640, 337, 263 mg/kg(EHC199(1998))に基づき、計算式を用い算出した値(LD50 = 263 mg/kg)から、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットにおける吸入LC50(1hr)= 14.7 mg/L(4時間換算値4.35 mg/L)(JMPR206(1972))から、区分4とした。なお、本物質の飽和濃度はおよそ0.47ppm(3.7 mg/m3)(20℃)であり、吸入試験はミストの状態で行われたと推定される。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギの皮膚をわずかに刺激するとの記述(EHC199(1998))から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの眼をわずかに刺激する(軽微な発赤および結膜浮腫、いずれも7日以内に回復)(EHC199(1998))との記述から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質を扱う労働者に皮膚発疹が見られる(EHC199(1998), JMPR322(1975))ものの、アレルギー反応に起因したものと確認できず、データ不足により分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスを用いた相互転座試験および優性致死試験、マウス精母細胞を用いた染色体異常試験、マウススポット試験の陰性結果がある(EHC199(1998); JMPR719(1985))ことから、区分外とした。なお、Ames試験は陰性と報告されている(EHC199(1998))。
6 発がん性 区分外 - - - - IARC(IARC Suppl.7(1987))において、”Group 3(ヒトに対する発がん性について分類できない)”に分類されていることから、技術上の指針に従い区分外とした。なお本物質について、”クロルジメフォルムへの暴露とヒト膀胱がん発生との間の相関については、現在は説得力の弱い証拠のみである”(EHC(J)199(1998))とされており、また、EU分類ではCarc.cat 3(GHS区分2相当)に分類されている。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラット3世代投与試験および催奇形性試験、ならびにウサギ催奇形性試験において、母体毒性用量で軽微な影響(哺育率の低下、仔の離乳時体重の減少、新生児胸骨の骨化不全等)が見られた(いずれもEHC199(1998))のみであることから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系、膀胱、腎臓、心血管系)、区分2(血液) 警告
危険
H370: 臓器の障害(神経系、膀胱、腎臓、心血管系)
H371: 臓器の障害のおそれ(血液)
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1の文書中、「急性中毒では疲労感、吐き気、食欲低下を起こし、重症例では、嗜眠、チアノーゼ、尿意促迫、膀胱炎、心血管作用(頻脈、徐脈、ECGの変化)、昏睡およびショックを起こす。」との記述があること(EHC199(1998))に加え、本物質の輸送に用いたタンクの洗浄に携わった労働者に、腹部痛、排尿障害および血尿を伴う急性出血性膀胱炎の症状が見られたこと(EHC199(1998))から、区分1(神経系、膀胱、腎臓、心血管系)とした。また、「血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成する」との記述(ICSC(J)(1994))から、区分2(血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(膀胱、腎臓、心血管系、皮膚) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(膀胱、腎臓、心血管系、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1の文書中、本物質に職業的に慢性的に暴露されたヒトが、上記急性症状の一部に加え、血尿、膀胱炎、排尿困難、皮膚のかゆみと発疹(皮膚への暴露)等を示したとの報告がある(EHC199(1998), JMPR322(1975), JMPR719(1985))ことから、区分1(膀胱、腎臓、心血管系、皮膚)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=1mg/L(EHC199、1998)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.89(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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