GHS分類結果

名称:塩化第ニスズ
CAS番号:7646-78-8

結果:
物質ID: 1283
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
6 引火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2004)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2004)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2004)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水と反応するが(高熱を発する)、不燃性の塩化水素ガスを発生するため、区分外とした。
13 酸化性液体 分類できない - - - - データなし。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 区分1 警告 H290: 金属腐食のおそれ P234: 他の容器に移し替えないこと。
P390: 物的被害を防止するためにも流出したものを吸収すること。
P406: 耐腐食性/耐腐食性内張りのある...容器に保管すること。
本物質固有の国連番号(1827)によりUNRTDGが腐食性を示す8、IIに分類されており、ICSC(J)(2004)およびHSDB(2003)にも金属腐食性を示す記載があることから、区分1とした。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。 【注】塩化第二スズには液体の無水物と固体の五水和物(CAS No.10026-06-9)があるが、本GHS分類では無水物(CAS No.7646-78-8)として調査を行った。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入LC50値が2300mg/m^3/10min(RTECS, 2004)から、4時間値として0.47mg/Lが得られ、区分1とした。なお、本物質の蒸気圧2.4kPaから飽和蒸気濃度は23762ppmとなり、LC50値の2300mg/m^3(=216ppm)は蒸気暴露と推察される。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1B 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す、経口摂取すると、腐食性を示す(ICSC, 2004)、皮膚に熱傷をおこす、皮膚・眼・気道を刺激する(HSDB, 2003)との記述から、区分1A-1Bとした。なお、細区分は困難である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
本物質は眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す、経口摂取すると、腐食性を示す(ICSC, 2004)、皮膚・眼・気道を刺激する(HSDB, 2003)との記述、ならびに皮膚腐食性区分1としたことから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vitro変異原性試験のAmes試験で陰性(CICAD 65, 2005; HSDB, 2003)、染色体異常試験で陽性(CICAD 65, 2005; RTECS, 2004)の報告があるものの、in vivoデータがなく、データ不足で分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は気道腐食性(ICSC, 2004)、気道刺激性(HSDB, 2003)を示す、また、無機スズ化合物は気道刺激性を示す(ACGIH-TLV(2006))としていることから、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肺) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
無機スズ化合物として塵肺の恐れがある(ACGIH-TLV(2006))こと、職業暴露調査により本物質などにおいて呼吸器系への影響がみられていること(HSDB, 2003)から、区分1(肺)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50>1000mg/L(IUCLID、2000)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水に可溶(HSDB、2004))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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