GHS分類結果

名称:トリブチルスズアセテート
CAS番号:56-36-0

結果:
物質ID: 1274
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - トリブチルスズの一種であり、トリブチルスズ類はかつては船体や漁具の防汚剤として使われたことから、常温の空気と接触しても自然発火しないと考えられ、区分外とした。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - トリブチルスズの一種であり、トリブチルスズ類はかつては船体や漁具の防汚剤として使われたことから、水に対して安定と考えられ、区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口LD50値50-100 mg/kg(ACGIH 7th, 2001)および99 mg/kg(PATTY 5th, 2001; RTECS, 2004)より、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 皮膚を刺激し熱傷を起こす(HSFS, 1999)、ならびにトリブチルスズ化合物あるいは有機スズ化合物は皮膚刺激性を示すとの知見(DFGOT 1, 1991; PATTY 5th, 2001; ATSDR, 2005)から、少なくとも軽度皮膚刺激性を有するものと判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
眼を刺激し熱傷を起こす(HSFS, 1999)、ならびに有機スズ化合物は眼刺激性を示すとの知見(ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001; ATSDR, 2005)から、区分2A-2Bとした。なお、細区分は困難である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - 有機スズ化合物はACGIHにおいてA4(ヒト発がん性物質に分類できない)に分類されているものの、一方で、ある種の有機スズ化合物は動物にがんを誘発するとの知見もあり(ATSDR, 2005)、本物質自身のデータがないためデータ不足で分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた催奇形性試験において、母体毒性を示す用量で胚胎児致死や発生異常(頭蓋顔面および骨格筋系)がみられたことから(ATSDR, 2005; RTECS, 2004)、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分2(消化器系)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
H371: 臓器の障害のおそれ(消化器系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
区分2のガイダンス値においてマウスで消化管出血がみられたこと(ATSDR, 2005)、また、有機スズ化合物としてヒトの中枢神経系(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001)への影響ならびに気道刺激性(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001)の可能性が記載されていることから、区分1(中枢神経系)、区分2(消化器系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(免疫系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(免疫系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質自身のデータはないが、有機スズ化合物としてヒトの免疫系への影響が示唆されている(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001)ことから、区分1(免疫系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=3.3μg TBT/L(EHC15、1980)(トリブチルスズアセテート濃度換算値:4.0μg/L)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性がなく(加水分解して水酸化トリブチルスズを生成し、残留(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある(水酸化トリブチルスズのBCF=9210(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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