GHS分類結果

名称:亜硝酸ナトリウム
CAS番号:7632-00-0

結果:
物質ID: 1110
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含む硝酸塩類であるが、物質固有の国連番号(1500)によりUNRTDGが5.1(6.1)、IIIに分類されており、区分外とした。 (ただし、本物質は反応性が高く、様ーな物質、火、熱との接触により爆発することがある。(ICSC(J),2000; Sax,11th,2004))
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2000)。 (ただし、本物質は反応性が高く、他の物質と接触すると燃焼を助長する。(ICSC(J),2000))
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 酸化性固体に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2000)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2000)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(水溶解度の数値が得られている。)
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 区分3 警告 H272: 火災助長のおそれ:酸化性物質 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。
P221: 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
物質固有の国連番号(1500)によりUNRTDGが5.1(6.1)、IIIに分類されており、区分3とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値180mg/kg(RTECS, 2004)、85mg/kg(IUCLID, 2000)、200mg/kg(IUCLID, 2000)に基づき統計処理した結果(LD50=96.8mg/kg)、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。 (固体であるが、蒸気圧の情報がなく、蒸気暴露が可能かどうか不明。)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLC50値0.0055mg/L/4H(5.5mg/m3/4H)(RTECS, 2004)に基づき、区分1とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - HSFS(1999)では皮膚刺激性の可能性があるとしているが、IUCLID(1999)のウサギの試験(GLP対応)では皮膚刺激性がみられなかったことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの眼刺激性試験では、RTECS(2004)はMild、IUCLID(2000)(GLP対応)はModerateであったため、区分2A-2Bとした。なお、細区分は困難である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウス優性致死試験で陰性(IUCLID, 2000)、経世代転座試験で陰性(IUCLID, 2000; HSDB, 2003)であること、ラットおよびマウスの骨髄小核試験ならびにマウス末梢血小核試験において陰性(NTP TR495, 2001)であることから、区分外とした。この小核陰性知見はWHOにおいても支持されている(JECFA FOOD ADDITIVES SERIES: 50, NITRITE, 2003)。なお、IUCLID(2000)にげっ歯類の染色体異常試験/小核試験において複数の陰性ならびに陽性報告がなされているものの、詳細が不明であり分類には使用しなかった。
6 発がん性 区分外 - - - - NTP TR495(2001)のラットの発がん性試験では雌雄とも陰性、マウスの発がん性試験では雄陰性、雌不確定であったが、この知見はWHOにより陰性と評価されいることから(JECFA FOOD ADDITIVES SERIES: 50, NITRITE, 2003)、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - JECFA(WHO FOOD ADDITIVES SERIES: 50, NITRITE, 2003)、HSDB(2003)のラットおよびマウスの試験において、生殖能への影響および催奇形性は認められなかったことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(心血管系、血液) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(心血管系、血液) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2文書のICSC(J)(2000)、HSFS(1999)、HSDB(2003)、RTECS(2004)にヒトの心血管系(血圧低下等)、血液(メトヘモグロビン血症等)に影響があるとの記載があり、区分2(心血管系、血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2文書のRTECS(2004)にラットの反復投与試験においてメトヘモグロビン血症の報告が2件あり、毒性がみられた用量とガイダンス値との比較により、区分2(血液)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.36mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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