GHS分類結果

名称:フッ化ヒ素(III)
CAS番号:7784-35-2

結果:
物質ID: 1083
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
6 引火性液体 区分外 - - - - 組成的に不燃性と判断した。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 組成的に不燃性と判断した。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 組成的に不燃性と判断した。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水と反応してフッ化水素ガスが発生するが、このガスは不燃性である。
13 酸化性液体 分類できない - - - - データなし。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスの最低致死量 2000mg(=370ppm)/m3/10mとのデータしかなく(RTECS, 2004)、本物質の蒸気圧100 mmHg(=13.3kPa)から飽和濃度は130000ppmと考えられ、蒸気暴露と推察される。本最低致死量は0.4mg/L/4hと換算され、この値は区分1の上限値(0.5mg/L/4h)に近接しており、LC50値としては区分2に相当するものと考えた。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 本物質の知見は認められなかったが、無機ヒ素化合物は皮膚刺激性を示す(DFGOT 21, 2005)、3価のヒ素化合物は皮膚腐食性を示す(HSDB, 2003)との記述から、軽度の刺激性は有するものと判断し、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
本物質の知見は認められなかったが、フッ化物は眼刺激性を示す(ACGIH-TLV, 2005; ACGIH 7th, 2001)との記述から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質自身の知見はなく、無機ヒ素化合物としてヒトに皮膚感作性を示す可能性があるとしているが確定的な結論ではないこと(ATSDR, 2005; HSG, 1992)、加えて、EHC 224(2001)のヒトにおける記述”無機ヒ素の皮膚感作性の発現はまれである”ことから、データ不足により分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。なお、ドイツDFGではヒ素および無機ヒ素化合物を生殖細胞変異原性カテゴリー3A(GHS区分1B-2相当)に分類している(MAK/BAT, 2005)。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC Suppl. 7(1987)、ACGHI-TLV(2004)、MAK/BAT(2004)においてヒ素およびヒ素化合物はヒト発がん性物質と分類されているため、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の知見は認められなかったが、ヒ素およびヒ素化合物についての、Priority 1のEHC 224(2001)のヒトに関する記述”生殖への影響が示唆される”および動物での知見”母体毒性が認められる用量での胎児毒性および催奇形性”から区分2とした。なお、Priority 1相当のCatalog of teratogenic agents(2004)には”無機ヒ素はヒトの催奇形性物質ではないとの結論を支持”との記述がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(消化器系、心血管系、神経系、腎臓、肝臓、呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(消化器系、心血管系、神経系、腎臓、肝臓、呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の知見は認められなかったが、ヒ素および無機ヒ素化合物に対するEHC 224(2001)のヒトに関する記述”胃腸器官の症状、心血管系および神経系機能の障害、骨髄抑制、血液系の変化、腎症”、PIM(Poisons Information Monographs)G042(WHO/IPCS, 1996)の同様の記述、加えてACGIH(7th, 2001)の肝臓、上部気道および肺へ影響、無機ヒ素粉塵は上部気道を刺激するとの記述、さらに、フッ化物は気道刺激性を示す(ACGIH-TLV, 2005; ACGIH 7th, 2001)との記述より、区分1(消化器系、心血管系、神経系、腎臓、肝臓、呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚、呼吸器系、骨) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚、呼吸器系、骨) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の知見は認められなかったが、ヒ素および無機ヒ素化合物に関するEHC 224(2001)およびPIM(Poisons Information Monographs)G042(WHO/IPCS, 1996)のヒトにおける記述”無機ヒ素の長期経口摂取で、胃腸管障害、神経障害、血液系への影響、心血管系、腎臓、肝臓の異常が見られた。標的臓器は胃腸管、心臓、脳および腎臓である。皮膚、骨髄および末梢神経系も影響を受ける”、加えてACGIH(7th, 2001)の上部気道および肺へ影響との記述、また、フッ化物は気道刺激性、骨への影響(フッ素症)を示す(ACGIH-TLV, 2005; ACGIH 7th, 2001)との記述より、区分1(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚、呼吸器系、骨)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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