GHS分類結果

名称:メチルビニルケトン
CAS番号:78-94-4

結果:
物質ID: 986
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 区分1 危険 H224: 極めて引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
・国連の副次的危険性による分類(UN Subsidiary Risks):3、8 ・国連包装等級(UN Packing Group):I
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - 国連危険物輸送勧告で非危険物。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素を含むが、炭素・水素以外と結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値:23.1mg/kg(ACGIH 7th, 2001)、31mg/kg、約30mg/kg、約22mg/kg(DFGOT vol.9, 1998)に基づき、計算を適用した。計算値は22.7mg/kgであったことから、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT(vol.9, 1998)のウサギへの0.2mg/kgおよび0.05mg/kg経皮投与により3例中3例が死亡したとの記述から、区分1とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50(4時間)値:0.007mg/L(2.4ppm)(ACGIH 7th, 2001)および22.4ppm(換算値0.0641mg/L)(DFGOT vol.9, 1998)に基づき、小さい方の値を採用した。2.4ppmは蒸気圧からミストをほとんど含まない蒸気と判断でき、ppm濃度基準値から区分1とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT(vol.9, 1998)のウサギの皮膚に適用した試験において、適用の1.5および15分後に炎症性変化がみられ、重度の壊死(severe necrosis)が現れたとの記述から、腐食性があると判断し、区分1A-1Cとした。 [表示]細区分する必要がある場合は、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
皮膚腐食性であり、DFGOT(vol.9, 1998)のウサギの眼に適用した試験において非常に強い角膜変性が認められたとの記述から、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT(vol.9, 1998)に感作性が認められた1症例の報告があるとの記述があり、ACGIHでSEN(ACGIH 7th, 2001)、DFGでSh(MAK/BAT, 2004)に分類されていることから、区分1とした。また、DFGOT(vol.9, 1998)にはモルモットを用いたOpen Epicutaneous Testにおいて重度の接触性皮膚炎が認められたとの記述がある。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - NTP DB(2006)の雄ラット骨髄細胞を用いた小核試験の結果はequivocalであり、マウス末梢血を用いた小核試験の結果は雌で陰性、雄でequivocalであることから、デー タ不足により分類できないとした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、腎臓)、区分3(麻酔作用) 警告
危険
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H370: 臓器の障害(呼吸器、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT(vol.9, 1998)のラット、ウサギ、ネコ、モルモットおよびマウスを用いた吸入暴露試験において呼吸器への影響が区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの記述、およびDFGOT(vol.9, 1998)のウサギおよびネコを用いた経口投与試験において腎臓の損傷が区分1のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述から、区分1(呼吸器、腎臓)とした。また、DFGOT(vol.9, 1998)のウサギを用いた吸入暴露試験においてflexion reflex抑制が認められたとの記述、ACGIH(7th, 2001)のヒトへの影響として麻酔作用を示すとの記述から、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
DFGOT(vol.9, 1998)のラットを用いた吸入暴露試験において呼吸困難が区分1のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの記述から、区分1(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
13を超えない炭素原子で構成されたケトンであることから、区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セレナストラム)の96時間EC50=120μg/L(AQUIRE、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=0.41(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(BUA233、2001))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る