GHS分類結果

名称:メチル-ターシャリ-ブチルエーテル【MTBE】
CAS番号:1634-04-4

結果:
物質ID: 980
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点<23℃、沸点(初留点)>35℃ UNRTDG クラス3 PGIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が224℃(Merck(Access on Dec. 2005))以上である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値:4000mg/kg(環境省リスク評価第4巻, 2005、DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002)、3800mg/kg(EHC 206. 1998、DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002)、3866mg/kg(EHC 206, 1998、ATSDR, 1996、EU-RAR, 2002)、2963mg/kg(IARC 73, 1999、ACGIH, 2002)、>2000mg/kg(EU-RAR, 2002)に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値:>10200mg/kg(EHC 206, 1998、DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002)、10000mg/kg(EHC 206, 1998、DFGOT vol.17, 2002)、>10000mg/kg(EU-RAR, 2002、ATSDR, 1996)、>7400mg/kg(IARC 73, 1999)およびラットLD50値:>6800mg/kg(DFGOT vol.17, 2002)、>2000mg/kg(EU-RAR, 2002)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - ラットLC50(4時間)値:84.825mg/L(環境省リスク評価第4巻, 2005、ACGIH, 2002)、85mg/L(DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002)、86mg/L(IARC 73, 1999)、41mg/L(環境省リスク評価第4巻, 2005)、142mg/L(DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002、ATSDR, 1996)、120mg/L(EU-RAR, 2002、ATSDR, 1996)に基づき、計算を適用した。計算値は79.004mg/Lであり、この濃度は蒸気圧からミストをほとんど含まない蒸気と判断でき、換算値21946ppmから区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
EU-RAR(2002)のウサギの皮膚に4時間適用した試験において中等度から重度の浮腫および中等度の紅斑が認められたとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
EHC 206(1998)、ACGIH(2002)、DFGOT(vol.17, 2002)、EU-RAR(2002)のウサギの眼に適用した試験において刺激性を示す眼の変化がみられ7日以内に回復したとの記述から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - EHC 206(1998)、DFGOT(vol.17, 2002)、EU-RAR(2002)のモルモットを用いたMaximization testにおいて感作性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験で陰性の結果(環境省リスク評価第4巻, 2005、EHC 206, 1998、ATSDR, 1996、ACGIH, 2002、IARC 73, 1999、EU-RAR, 2002)、マウス骨髄細胞を用いる小核試験で陰性の結果(環境省リスク評価第4巻, 2005、EHC 206, 1998、ATSDR, 1996、ACGIH, 2002、IARC 73, 1999、DFGOT vol.17, 2002、EU-RAR, 2002)、ラット骨髄細胞を用いる小核試験で陰性の結果(NTP DB, 2005)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCでグループ3(IARC 73, 1999)に分類されているが、ACGIHではA3(AICGIH, 2002)に分類されていることから、最近の評価文書であるACGIHに従って、区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 環境省リスク評価第4巻(2005)、EHC 206(1998)、ACGIH(2002)、DFGOT(vol.17, 2002)、IARC 73(1999)、EU-RAR(2002)、ATSDR(1996)およびIRIS(2005)のラットを用いた吸入暴露による繁殖試験、ならびにラット、ウサギおよびマウスを用いた胎児器官形成期吸入暴露試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 206(1998)、ACGIH(2002)、EU-RAR(2002)、ATSDR(1996)のラットまたはマウスを用いた吸入暴露試験において呼吸数の減少などの気道刺激性を示唆する影響が認められたとの記述、ならびにEHC 206(1998)、ACGIH(2002)、DFGOT(vol.17, 2002)、EU-RAR(2002)、IARC 73(1999)、IRIS(2005)のラットを用いた吸入暴露および経口投与試験において運動失調、活動性低下および筋緊張低下などの一過性の中枢神経抑制を示す症状が認められたとの記述から、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。また、ヒトへの影響としてはEHC 206(1998)、DFGOT(vol.17, 2002)、EU-RAR(2002)に、暴露例の一部に頭が重い感じがするといったごく軽度な症状が認められたとの記述がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - 環境省リスク評価第4巻(2005)、EHC 206(1998)、ATSDR(1996)、ACGIH(2002)、DFGOT(vol.17, 2002)、EU-RAR(2002)、IARC 73(1999)およびIRIS(2005)のラットおよびマウスを用いた吸入暴露試験ならびにラットを用いた経口投与試験において区分2のガイダンス値範囲を超える用量でも重大な毒性作用は認められなかったとの記述から、区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第4巻(2005)に液体を飲み込んだ場合、肺に吸引されて化学性肺炎を引き起こすことがあるとの記述があり、区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間EC50=136mg/L(EU-RAR、2002)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=51000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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