GHS分類結果

名称:1-ブタノール
CAS番号:71-36-3

結果:
物質ID: 912
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
23℃≦引火点≦60℃ UNRTDG クラス3 PGIIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が343℃である(NFPA(12th, 1997)p325-20)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属原子を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内の酸素原子が炭素、水素以外の原子と化学結合していない。また、フッ素および塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値=790mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004)、SIDS(2004)、EHC 65(1987))、4360mg/kg(SIDS(2004)、ACGIH(2002)、PATTY(4th, 1994))、2290mg/kg(SIDS(2004))、2510mg/kg(SIDS(2004)、ACGIH(2002)、PATTY(4th, 1994))、2100mg/kg(EHC 65(1987)、DFGOT vol.19(2003))、700mg/kg(EHC 65(1987)、DFGOT vol.19(2003))に基づき、計算を適用した。計算値は1227mg/kgであったことから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ウサギLD50値=3402mg/kg(SIDS(2004)、DFGOT vol.19(2003))、5300mg/kg(SIDS(2004)、EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994))、4200mg/kg(EHC 65(1987)、PATTY(4th, 1994))に基づき、計算を適用した。計算値は3636mg/kgであったことから、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - SIDS(2004)、EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)には8000ppm(換算値:24.2mg/L)の4時間暴露でラットに死亡が認められなかったとの記述があることから、区分外とした。24.2mg/Lは蒸気圧からミストが混在していると推定される。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
SIDS(2004)、EHC 65(1987)およびDFGOT vol.19(2003)のウサギを用いた24時間patch testで中等度の刺激性が認められたとの記述、およびSIDS(2004)、ACGIH(2002)およびDFGOT vol.19(2003)の職業暴露例で皮膚炎が認められるとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で中等度〜強度の刺激性が認められ、7日以内に回復しないが、21日以内に完全に回復した(ECETOC TR 48(1992))ことから、区分2Aとした。環境省リスク評価第3巻(2004)、SIDS(2004)、EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、産衛学会勧告(1993)にはヒトで職業暴露(蒸気暴露)でも角結膜炎など眼刺激性が認められたとの記述がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるほ乳類赤血球を用いる小核試験で陰性の結果(SIDS(2004)、ACGIH(2002))があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPAでDに分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 環境省リスク評価第3巻(2004)、SIDS(2004)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)の妊娠ラットへの吸入暴露試験で母獣毒性が認められる暴露濃度で胎児に骨格変異(頸肋)が認められたのみで、指針に従い区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第3巻(2004)およびDFGOT vol.19(2003)のヒトで吸入暴露により咽頭に軽度な刺激がみられたとの記述から、気道刺激性と考えられ、区分3とした。また、SIDS(2004)、EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)の動物実験で麻酔作用または中枢神経系抑制がみられたとの記述、ならびに環境省リスク評価第3巻(2004)およびDFGOT vol.19(2003)のヒトで吸入暴露により頭痛がみられたとの記述から、麻酔作用があると考えられ、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、聴覚器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、聴覚器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第3巻(2004)、EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)および産衛学会勧告(1993)のヒト職業暴露例にめまいや頭痛がみられるとの記述、ならびにEHC 65(1987)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)および産衛学会勧告(1993)のヒト職業暴露例で聴力損失が認められたとの記述から、中枢神経系および聴覚器が標的臓器と考え、いずれも区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
3以上13を超えない炭素原子で構成された一級のノルマルアルコール;13を越えない炭素原子で構成されたイソブチルアルコールおよびケトンに相当することから、区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1996)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=63200mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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