GHS分類結果

名称:テトラニトロメタン
CAS番号:509-14-8

結果:
物質ID: 841
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - UNRTDG クラス5.1に分類されている。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点>93℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 酸化性液体に分類されている。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - UNRTDG クラス5.1に分類されている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス5.1に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属原子を含んでいない。
13 酸化性液体 区分1 危険 H271: 火災又は爆発のおそれ:強酸化性物質 P371+P380+P375: 大火災の場合で大量にある場合:区域から退避させ、爆発の危険性に応じ、離れた距離から消火すること。
P306+P360: 衣類にかかった場合:服を脱ぐ前に、直ちに汚染された衣類及び皮膚を多量の水で洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。
P221: 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P283: 防火服/防炎服/耐火服を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
UNRTDG クラス5.1 PGIに分類されている。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS分類の定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス5.1に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット 経口LD50=130mg/kg(ACGIH、DFGOT、PATTY、NTP)に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット 吸入でのLC50(4時間):0.14mg/L(濃度換算値:17.5ppm)(ACGIH(7th, 2001)、DFGOTvol.4(1992)、PATTY(4th, 1994)、NTP TR386(1990))に基づき、区分1とした。なお、上記のLC50値は本物質の飽和蒸気濃度11,100ppm(濃度換算値:88.11mg/m3)(ACGIH(7th, 2001))より著しく低いことから、吸入暴露試験はミストを含まない蒸気を暴露して実施されたと判断される。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - Priority 1の出典であるDFGOTvol.4(1992)やPATTY(4th, 1994)の「ヒトでの反復暴露においても皮膚を刺激しない」との記述に基づき、区分外とした。なお、Priority 2の出典であるICSC(J)(2004)、SITTIG(47th, 2002)、HSDB(2005)およびHSFS(2000)では、「皮膚を刺激する」と記述されているが、いずれも元文献が記載されていないため、分類の根拠とするには不充分と判断した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ACGIH、DFGOT、PATTYの職業暴露症例で眼に刺激性が認められたとの記述から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験では細菌を用いる復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いる姉妹染色分体交換試験(-S9で)および染色体異常試験(+S9で)など複数の指標で陽性(ACGIH(7th, 2001)、DFGOTvol.4(1992)、IARC 65(1996))であるが、反応の程度は不明である。一方、in vivoのデータはなく、本物質と化学構造が類似している既知の生殖細胞変異原性物質は見当たらないことから、本物質には生殖細胞変異原性を有する可能性を示唆する所見はないと判断され、データ不足により分類できないとした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC 65(1996)で2B、ACGIH(7th, 2001)でA3、産衛学会勧告(2005)で2B、NTP RoC(11th, 2005)でRに分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)、DFGOTvol.4(1992)、PATTY(4th, 1994)のヒト暴露例で鼻および気管を刺激したとの記述から、気道刺激性があると考えられ、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、血液) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)、DFGOTvol.4(1992)の職業暴露症例で肺水腫およびメトヘモグロビン血症を起こしたとの記述、およびACGIH(7th, 2001)、IARC 65(1996)、DFGOTvol.4(1992)、PATTY(4th, 1994)、NTP TR386(1990)のラット13週間反復吸入試験において10ppm(換算値0.08mg/L、蒸気圧から蒸気と判断できる)暴露により鼻腔粘膜扁平上皮の化成(squamous metaplasia of the respiratory epithelium in the nasal mucosa)が認められたとの記述から、標的臓器は呼吸器および血液と考えられ、区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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