GHS分類結果

名称:塩化第二鉄
CAS番号:7705-08-0

結果:
物質ID: 831
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない物質。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - Not combustible(ISCS(2004))の記載による。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない物質。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - Not combustible(ISCS(2004))の記載による。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - Not combustible(ISCS(2004))の記載による。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水との接触により加水分解するが、生成物は不燃性の水酸化鉄と塩酸であるため可燃性ではない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 国連分類 副次危険クラス5.1に分類されていない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。(大部分の金属に腐食作用を及ぼす(ホンメル(1991))の記載がある。)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、LD50値の統計計算値(316 mg/kg)より区分4に分類した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
固体はヒトに熱傷を起こす(HSDB(2005))の記載あり、国連分類クラス8 IIIであることより区分1Cに分類した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒトに熱傷を起こす(HSDB(2005))の記載があり、皮膚腐食性/刺激性が区分1Cであることより区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがなく分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを使った試験で陽性だったが、2匹試験して1匹陽性であり、データ不足である。ヒトについての報告が2件あるが、いずれも他の金属類を多く扱っている職場で1例のみの報告であり、塩化第二鉄の影響であると断定できないため、分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
in vivo試験ではマウス精巣の染色体異常試験で陰性、マウス小核試験で陽性、マウス骨髄細胞の染色体異常試験で陽性(IUCLID(2000))の記載があり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験で陽性の報告がないため区分2とした。In vitroの試験(エームズ試験)では陰性であった。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットの飲水、摂餌投与試験でいずれも陰性であった(HSDB(2005))、(IUCLID(2000))の記載より区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - マウスに飲水投与して催奇形性、胎児毒性はなかった(IUCLID(2000))、また腹腔投与したラットの精巣上体から得た精子の形態に影響を与えた。マウスに14日間飲餌投与して、精子の可動性が減少し、精巣上体尾の活性酸素種受容能が減少した(HSDB(2005))との記載があるがデータ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性)、区分3(気道刺激性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで粉じんやミストは気道を刺激する(ACGIH(2001))の記載より区分3(気道刺激性)に、誤飲により意識障害、頻脈、頻呼吸、持続性の吐き気、酸性血症、血液生化学の異常(HSDB(2005))の記載があり、Priority2であることより区分2(全身毒性)に分類した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトでの報告はなく、動物実験では区分2のガイダンス値外でわずかな影響が見られただけであるため、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
吸引性肺炎(HSDB(2005))が記載されているので区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=9600μg/L(AQUIRE、2003)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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