GHS分類結果

名称:1,1-ジクロロエタン
CAS番号:75-34-3

結果:
物質ID: 772
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-17〜-5.6℃、初留点57-59℃から区分2(GHS基準:引火点23℃未満および初留点35℃超)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点458℃(ICSC(1993)、NFPA(13th, 2002)、ホンメル(1991))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素またはフッ素を含んでいない有機化合物。塩素を含むが、この塩素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - アルミニウム、鉄を侵すという記載がある(ICSC(1993))が、詳細な試験データがないので分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットにおけるLD50 = 14.1 g/kg(PATTY(5th, 2001))であることから、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 ACGIH(7th, 2001), PATTY(5th, 2001)記載のラットLC50 = 13000ppm(換算値52.5 mg/L)およびHSDB(2005)記載のラットLC50 = 16000ppm(換算値91.4 mg/L)から、計算式を適用して得られたLC50 = 52.5 mg/Lに基づき区分5とした。なお、本物質の飽和濃度は3.0x10^5ppmであり、吸入試験は蒸気の状態で行われていると推定される。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 本物質の長期または反復暴露により、皮膚の脱脂による乾燥、ざらつきが起こるとの記述がある(ICSC(J)(1993))が、直接的な皮膚刺激性を示すものではなく、具体的な皮膚刺激性に関するデータがないため、データ不足で分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
EUリスク警句で、目への刺激を示すR36/37が適用されていること、ウサギの眼に投与すると、即時に中程度の結膜の刺激と部分的な腫れが起こる(一週間以内に正常に戻る)(IUCLID(2000))こと、「ヒトの眼を刺激する(ACGIH(7th, 2001), PATTY(5th, 2001))」、「発赤、痛み(ICSC(J)(1993))」との記述があることから、区分2A-2Bとした。 【表示】細区分を行う必要がある場合は、安全性の観点から2Aとしたほうが望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ラットおよびマウスを用いたin vivo DNA結合試験で陽性結果がある(ACGIH(7th, 2001); ATSDR(1990))ものの、in vitro変異原性試験の染色体異常試験では陰性であり、同じくAmes試験では陽性報告もあるものの全般的には陰性であり、分類の指針に従い分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIH(7th, 2001)でA4、EPA(1996)でCと分類されているため、分類の指針に従い区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットに対する吸入による試験において、母獣および仔のいずれにも、わずかではあるが有意な摂餌量減少と化骨遅延以外の影響は見られず、また、催奇形性も見られなかった(ACGIH(7th, 2001), ATSDR(1990), PATTY(5th, 2001))ことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用、気道刺激性) 危険
警告
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H370: 臓器の障害(肝臓、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1において、ヒトに麻酔作用がある、肝臓および腎臓への影響や気道刺激性が見られるとの記述がある(ACGIH(7th, 2001), PATTY(5th, 2001), ATSDR(1990))ことから、区分1(肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓、肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2の文書(ICSC(J)(1993), SITTIG(4th, 2002))における、ヒトの腎臓、肝臓に影響を与えることがある、との記述から区分2(腎臓、肝臓)とした。なお、動物実験において中枢神経系、腎臓、肝臓への影響がみられたが、いずれもガイダンス値で区分2の範囲を超える量での結果であった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(ブラインシュリンプ)の24時間TLm=320mg/L(HSDB、2004)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=5040mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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