GHS分類結果

名称:シクロヘキサン
CAS番号:110-82-7

結果:
物質ID: 765
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-20℃、初留点80.7℃から区分2(GHS基準:引火点23℃未満および初留点35℃超)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点245-260℃(ICSC(1994)、NFPA(13th, 2002)、Chapman(CD-ROM ver. 13.2 2005))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3 に基づき区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットの5データ(EU-RAR(2004))から計算したLD50=7729.9mg/kgに基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギで2000mg/kgの用量で死亡が見られなかったとの記載(EU-RAR(2004))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - 本物質の飽和蒸気圧濃度は125743ppmであり、吸入試験は全て蒸気で行われたと考えられる。ラットにおける4時間暴露のLC50 > 9500ppm(EU-RAR(2004))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギおよびヒトにおいて皮膚刺激性があるとの記載(DFGOT vol. 13(1999), EU-RAR(2004), ACGIH(2002), ICSC(J)(1994))がある。ウサギでは反復投与により皮膚に亀裂を生じ出血を認めたが、投与終了後1週間では軽快し(DFGOT vol. 13(1999))、ヒトに原液を1時間付着させた場合、発赤とみみずばれを生じたとの記載(EU-RAR(2004))があるが、これも回復性の障害と考えられる。以上のことから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギで角膜混濁、虹彩炎、結膜充血・浮腫がいずれも可逆的に見られた(EU-RAR(2004))ほか、動物およびヒトで眼に刺激性があるとの記載(PATTY(5th, 2001), EU-RAR(2004), ICSC(J)(1994), HSDB(2005))があることから、区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - GLP試験において皮膚感作性がなかった結果が記載されている(EU-RAR(2004))が、この試験は不十分な試験と記述されている。一方、予備欄にはヒトでの事例がないことが記載されている。以上の情報から、データ不足のため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ヒト経世代疫学、経世代変異原性試験、生殖細胞in vivo変異原性試験の結果が無く、体細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験)で陰性の結果が示されている(DFGOT vol. 13(1999))ことに基づき、技術指針に従い区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPAでIと分類されていることに基づき、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
親に体重減少が見られる用量、または親の一般毒性についての記載がない用量で、授乳期の児の体重低値、胎児の体重減少が見られ、雄の生殖器への影響(精巣の萎縮、精子への毒性)が見られたとの記載(ACGIH(2002)、EU-RAR(2004)、DFGOT vol.13(1999))に基づき、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(血管系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H371: 臓器の障害のおそれ(血管系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物の多くの試験で中枢抑制が報告されており、麻酔作用があるとの記載が多いが、暴露量のデータがない。ウサギへの経口投与において、区分2のガイダンス値範囲内の用量で血管損傷が見られたとの記載(ACGIH(2001))があることから、区分2(血管系)とした。ヒトにおいて気道刺激性があるとの記載(ACGIH(2001)、ICSC(J)(1994))、およびめまい、悪心、意識消失、反射の喪失など中枢抑制があり死に至ることがあるとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - ヒトにおいて本物質による明かな毒性発現の記載がないこと(ACGIH(2002), EU-RAR(2004))、および動物において区分2のガイダンス値範囲より高い投与量で毒性発現が見られないこと(ACGIH(2002), EU-RAR(2004), PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある(ICSC(J)(1994))との記載に基づき、区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.9mg/L(EU-RAR、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(OECDテストガイドライン301Fによる28日間の分解度:77%(EU-RAR、2004))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=129(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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