GHS分類結果

名称:シクロヘキサノン
CAS番号:108-94-1

結果:
物質ID: 764
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点は43oC(ホンメル,1991)である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連分類 クラス3 容器等級 III(国連番号 1915)に分類されている。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が420℃(ホンメル(1991))である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素を含んでいない。酸素を含むが、酸素は炭素以外の元素とは結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 過酸化物に関わる原子団を含まない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連分類 クラス3、容器等級 III(UN No.1915)に分類されているので、区分外とした。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口LD50統計計算値=1544mg/kgであり、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギLD50=947mg/kg(DFGOT,1998;PATTY,2001)により、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
飽和蒸気圧濃度=5700ppm(25℃)(Howard,1997)に基づき、ラットLC50=2450ppm(ACGIH,2003)は蒸気ばく露値と判断し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - 飽和蒸気圧濃度=5700ppm(25℃)(Howard,1997)に基づき、ラットLC50=8000ppm=32.1mg/L(CERIデータ集,2000)はミストばく露による値と判断し、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
CERIハザードデータ集(2000)の「中等度の刺激性あり」との記載により、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
「ヒトにおける眼刺激性」(PATTY(5th,2001))および「ウサギの眼における強い刺激性」(CERIハザードデータ集(2000))の記載に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - ヒトの1件1人について報告されている(IARC(Vol71,1999)、ACGIH(2003))が、動物では感作性は認められていないので区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット・優性致死試験において陰性、ラット・骨髄細胞・染色体異常試験において陽性(何れもCERIハザードデータ集(2000))であることから区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCは3に分類(1999)、ACGIHはA3に分類(2003)している。評価時期が最新のACGIHの分類に基づき、区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
多くの報告は生殖毒性を報告しておらず、いずれの場合も催奇形性はない旨が記載されている。しかし、高濃度ばく露において、母獣への有害影響誘発下で仔の有害影響が報告がされている(ACGIH(2003);DFGOTvol.10(1998))。よって区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(肝臓、脾臓、中枢神経系)、区分2(肺)、区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告
危険
H371: 臓器の障害のおそれ(肺)
H370: 臓器の障害(肝臓、脾臓、中枢神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
肝臓への影響がヒトで報告されている(DFGOT,vol.10,1998)ので区分1(肝臓)とした。ラットに認められた脾臓影響(4250ppm=19mg/L)(PATTY,5th,2001)をガイダンス値と比して区分1(脾臓)とした。また、中枢神経系への影響(マウス(ACGIH,2003))についてはガイダンス値で評価し、区分1(中枢神経系)とし、肺への影響(マウス(ACGIH,2003))については区分2(肺)とした。また、動物での麻酔影響(ACGIH,2003)、(PATTY,5th,2001)。(DFGOT,vol10,1998)およびヒト気道刺激性(ACGIH,2003)が報告されているので区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、肝臓、中枢神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓、肝臓、中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで腎臓、肝臓、中枢神経系の影響が報告されている(PATTY5th、2001)ので区分1(腎臓、肝臓、中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本調査において、吸引性呼吸器有害性を示すデータは得られていないが、動粘性率(40℃)<14mm2/sと考えられ(動粘性率 = 2.13mm2/s(24℃)(Renzo(3rd,1986)に基づく)、また、「13を超えない炭素原子で構成されたケトンを区分2とする当局もある」ことから、区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=527mg/L(CERIハザードデータ集、2000)他から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=25000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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