GHS分類結果

名称:ジイソブチルケトン
CAS番号:108-83-8

結果:
物質ID: 756
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点49℃(ICSC(J)(1997))であるので区分3に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が345℃であり、常温では自然発火しない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体に関する試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 弗素および塩素は含まない。酸素は含むが炭素としか結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物であるが、分子内に-O-O-構造を含まない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがないので分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値が5000mg/kg以上であるか又は2000mg/kgまでの試験において死亡が見られないこと(SIDS(1998))から急性経口毒性は区分外である。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値は雌では5000mg/kgを超えており、雄では平均4579mg/kgであるが、再試験だけでは5000mg/kgを超えている(SIDS(1998))。ラットに2000mg/kg投与した試験において死亡が見られなかった(SIDS(1998))ことから急性経皮毒性は区分外である。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 5mg/l以上あるいは飽和蒸気圧(約13mg/l)で4時間暴露しても死亡は見られなかった(SIDS(1998))との報告があるが、区分を決めるにはデータが不足している。13mg/lで死亡が見られないことから、区分4、区分5又は区分外のいずれかが推定される。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - OECD Guidelineに従ったSHELLの試験において得られた24-72時間の平均スコア値は0.3-0.6であり、区分3の判定基準以下である。(SIDS(1998))。また、OECD Guidelineに従ったPotokarの試験結果をEECの基準で評価した結果はnon-irritanntであった。(SIDS(1998))ことから区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - 報告されている3つの試験結果はいずれも軽度の刺激であって眼刺激性には分類されない(SIDS(1998), DFGOT vol.18(2002))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがなく分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - guinea pigsによるMiximization試験およびMagnusson & Kligman試験で感作性ではないとの結果が得られている。(SIDS(1998))
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitroの試験では多くの陰性結果が得られているが、in vivoの試験情報が不十分である。(SIDS(1998))
6 発がん性 分類できない - - - - データがなく分類できない。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 交尾2週間前から授乳期間を通じて投与した試験において、親の生殖機能、着床数、仔の出生数などに影響が見られなかったことが報告されている。(SIDS(1998))ことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスでの試験で上気道粘膜への刺激データがあること(DFGOT vol.18(2002))、ヒトでの気道刺激の報告があること(DFGOT vol.18(2002)、PATTY(2001))、およびEC-Annex Iで気道刺激性(Xi:R37 Irritating to respiratory system)に分類していることから区分3(気道刺激性)に分類する。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - Carpenter等(1951、1953)によるラットに6週間吸入させた試験では、925ppm以上で副腎、肝臓、腎臓等の臓器に影響が見られるとの報告(SIDS(1998))があるが、この濃度は6週間に換算した区分2のガイダンス値の上限500ppmよりもかなり高いところでの影響である。Carpenter等(1951、1953)によるGunea pigに6週間吸入させた試験では、6週間に換算した区分2のガイダンス値の上限500ppmより低い250ppmで肝臓に対してわずかな影響が見られるが、臓器に対して有意義な影響とはみなしていない(SIDS(1998))などの報告はある。しかし、すべての評価をしていることにはならないこと、ガイダンス値に近いところでわずかに影響が見られること、およびヒトでの報告がないことから分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
21℃の動粘度が1.1mm2/s(溶剤ポケットブックデータより換算)であること、ジイソブチルケトンが炭素数13以下のケトンであることから区分2とする。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ニジマス)の96時間LC50=140mg/L(SIDS、2004)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=2640mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る