GHS分類結果

名称:コールタールナフサ
CAS番号:L-3

結果:
物質ID: 723
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - データなし。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点21℃(< 23℃)、初留点160-300℃(> 35℃)であることから区分2とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - データなし。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が270℃(> 70℃)である。(NFPA(1997))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類できない - - - - データなし。
13 酸化性液体 分類できない - - - - データなし。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
15 有機過酸化物 分類できない - - - - データなし。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値4データ(IARC47(1989), EHC20(1982))の統計計算値5980mg/kgに基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50= 5ml/kg(換算値 4.40g/kg)((IARC47(1989), EHC20(1982))に基づき区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分5 - 警告 H333: 吸入すると有害のおそれ P304+P312: 吸入した場合:気分が悪いときは、医師に連絡すること。 ラットLC50(4-8h)= 5.3mg/L(EHC20(1982))に基づき、区分5とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
沸点範囲138-264℃を有するAromatic solventsに対してmoderately irritationの記載(EHC20(1982))に基づき区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
沸点範囲138-264℃を有するAromatic solventsに対してmoderately irritationの記載(EHC20(1982))に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - モルモットを用いたmaximization test(含むGLP試験)でHigh-boiling aromatic solvent、Coal tar naphtha、は感作性を示さないとの記載(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。なお、この結果は、異なる沸点を有する複数のソルベントナフサを用いたヒトでの試験においても感作性を示さないとの記載(IUCLID(2000))によっても支持される。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたmaximization test(含むGLP試験)でHigh-boiling aromatic solvent、Coal tar naphtha、は感作性を示さないとの記載(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。なお、この結果は、異なる沸点を有する複数のソルベントナフサを用いたヒトでの試験においても感作性を示さないとの記載(IUCLID(2000))によっても支持される。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットまたはマウスを用いたin vivo体細胞変異原性試験(染色体異常試験(GLP)、小核試験(GLP))でHigh Flash Aromatic Naphtha またはSolvent naphthaは陰性であるとの記載(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、沸点の異なる3種類のSolvent naphthaを用いたin vitro変異原性試験はいずれも陰性であった。(IUCLID(2000))
6 発がん性 分類できない - - - - EU分類しかないので技術指針に従い分類できないとした。 【注記】Solvent naphtha(coal)、Solvent naphtha(petroleum), light arom.がEU分類でカテゴリー2(May cause cancer)に分類されている(ESIS(2006))。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラット、マウスを用いたHigh-Flash Aromatic Naphtha(Cas64742-95-6)の2世代生殖毒性試験、発生毒性試験の結果、同腹仔数、胎児生存率の影響、口蓋裂の増加が観察されたが、この影響は母獣に高い死亡率(ラット母獣死亡率88%、マウス母獣死亡率44%)を生じた高用量群でのみ認められ、それ以下の投与量では生殖毒性、発生毒性は認められていないとの記載(IUCLID(2000), Toxicol. Ind. Health, vol. 6, 441-460, 1990)により区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ソルベントナフサが0.949mm2/s(30℃)の動粘性率を有すること(溶剤ポケットブック(2001))、およびAromatic solvent A4(沸点196-264℃)は吸引により5/10の致死率を示した(EHC20(1982))ことに基づき、区分1とした。なお、Solvent naphtha(petroleum), light arom.(Cas 64742-95-6)、Solvent naphtha(petroleum), heavy arom.(Cas 64742-94-5)はR65(may cause lung damage if swallowed.)に分類されている(ESIS(2006))。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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