GHS分類結果

名称:塩化ベンゾイル
CAS番号:98-88-4

結果:
物質ID: 682
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が88℃(Merck(13th, 2001))である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告: UN No. 1736, クラス 8, Packing group IIに分類されている。(UN No.: 1736)
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が600℃との記載(ホンメル(1991))により、70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素を含まず、分子内の酸素および塩素は炭素と化学結合している。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
対象となった複数のラットLD50値:1140-2618 mg/kg(性別不明)(ACGIH(7th, 2001))、3619mg/kg(雄)と1900(雌)(DFGOT vol.6(1994))のいずれも排他すべき理由がないので、統計計算を行い計算値として1453 mg/kg を得た。分類基準に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギ LD50 = 790 〜 >2000 mg/kg(ACGIH(2001))より、低い値 790 mg/kg に基づき区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LC50(4h)= 247 ppm 〜 >377 ppm(ACGIH(7th, 2001))より低い値247 ppmを採り、気体の区分基準値を適用し区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた試験結果では"extremely irritating"あるいは"corrosive"と判定され(ACGIH(7th, 2001)、IUCLID(2000))、また、ヒトでも皮膚への暴露による熱傷や水疱の記載がある(ICSC(2002))。したがって、皮膚に対し不可逆的な損傷を起こすと考えられるので区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験結果では"extremely irritating"あるいは"corrosive"と評価され(ACGIH(7th, 2001)、IUCLID(2000)、HSDB(2000))、また、ヒトでも眼への暴露による重度の熱傷の記載がある(ICSC(2002))。したがって、眼に対し重篤な損傷を起こすと考えられるので区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(マウス骨髄赤芽球を用いた小核試験)における陰性結果(HSDB(2005))に基づきで区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIHによりA4(1995年)に分類されていることに基づき区分外とした。 なお、IARCの分類はα-chlorinated toluenesとの混合物として2Aに分類されている。しかしながら、benzoyl chlorideは”There is inadequate evidence in experimental animals”と評価されており、これはグループ3に相当する。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは吸入暴露により咳、努力呼吸、咽頭痛などの症状(HSDB(2005))、粘膜刺激性(ACGIH(2001))に加え、気道に腐食性があると記述されている(ICSC(2002)、SITTIG(47th, 2002))。また、重篤な結果を招くおそれのある肺水腫を起こすとも記述されている(ICSC(2002)、SITTIG(47th, 2002))。以上の事実に基づき区分2(呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの職業暴露で慢性咽頭炎、慢性副鼻腔炎、嗅覚障害などの症状が報告(ACGIH, 2001)、HSDB(2005))され、さらにマウスの反復暴露試験で著しい気道刺激性、軽度の扁桃腺腫大が認められている(ACGIH, 2001)、IUCLID(2000))ことに基づき区分1(呼吸器系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(グラスシュリンプ)の96時間LC50=0.12mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(加水分解して安息香酸(BODによる分解度:85%)を生成(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.44(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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